誰にでも、
小さい頃から慣れ親しんだ”ご飯の友(お伴)”がありますよね。
他におかずがないとしても、
これさえあれば、安心してご飯を食べられるという”砦”のような存在(笑)。
家庭によって、筋子だったり明太子だったり、
または津軽漬け(ねぶた漬け)だったり海苔の佃煮だったりと様々です。
南部地方で生まれ育った私のそれは、もちろん「なんばん味噌」。
これさえあれば、おかずが無くったって、何も文句は言いません(笑)。
なんばん味噌とは、
小さく刻んだダイコンやニンジン、ゴボウなどの野菜を、
唐辛子と一緒に味噌(正確には熟成させたもろみ)につけ込んだ風味豊かな漬け物。
一升漬け(三升漬け)と混同されたりしますが、
漬け方も漬けられている具材も異なる南部地方特有の漬け物で、
もろみの香りと辛み、野菜のシャキシャキッとした食感の絶妙なバランスがなんとも言えません。
このなんばん味噌は一体いつ頃生まれたのでしょうか。
ある資料によると、
明治の初め頃、五戸町のある農家の人が、みそにダイコン、ニンジン、なんばんを混ぜた漬け物を売り歩いたいのが始まりで、少しずつ変化しながら今のような形になったのだとか。
これがこの地方の人々の嗜好によく合っていたため、誰が名付けるとなく「なんばん味噌」と呼ばれるようになり、自然に広まっていったのだそう。
大正から昭和初期にかけて、この地方の味噌・醤油業者は競ってなんばん味噌をつくっていたと言いますから、その人気ぶりがうかがえます。
小さい頃、
わが家の食卓には必ずといっていいほどなんばん味噌がありました。
敏感な子供にとってみれば、その辛さはまるで危険球!
唇に感じる高熱に耐え、ヒーヒー言いながら食べたものでした。
しかーし!
大人になった今、なんばん味噌の辛さなどど真ん中のストライク。
ひと袋まるごと使った「なんばん味噌丼」だって全然平気です(笑)。
なんばん味噌は、五戸地方を中心に何社(店)かが商品化しています。
見た目もおいしさもそれぞれ。
写真を見ただけでどの社(店)の製品かわかったら、
あなたは立派な「なんばん味噌博士」ですね(笑)。
by 義人
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