今は希少な壺焼きならでは甘いやきいも
八戸市湊町の三戸商店の本業は港で取れたイカでスルメをイワシで煮干しを作る水産加工です。
昭和24年、まだ戦後の物資の不足が続く中、八戸市内に現れた行商さんが「試験的に使ってみて」とこの大きなツボを置いていったのだそうです。
三戸商店は、冬になると水産加工業が落ち着いていました。
そこで冬場の仕事になる芋でも焼こうと始めたのがきっかけだったのだそうです。
その後八戸市内にはこのツボを使った焼き芋屋さんが20軒ほどあったようでしたが、水に濡れると直ぐに割れる、炭を見ているのにつきっきりになる、石焼き芋のように移動できないなど、味はおいしいのにもかかわらず、徐々に廃業していったのだといいます。
そして、とうとう八戸市でも三戸さんだけになりました。
この60年近い間、やはりツボは何度も壊れたといいます。
作っているところがどこなのか全国を調べて貰ったこともあったといいますが、作っているところが探せず休んだこともあったのだとか。
そんな状況でもお客様から「あそこの小屋にまだツボがあるようだよ」などの情報をもらえば譲って貰ったり、と何とか続けてきたんだと言います。
82才になる三戸さんは、「もう今年で終わり」と毎年思いながら、それでも秋になるとご近所の「いつからやってくれるの?」という待望する声を聞いては、「じゃあ本当に今年で最後」と続けてきました。
炭の入ったツボの中に芋を引っかけ40~50分。
ツボから取り出したやきいもを割るともう真っきいろ。
しっとりした焼き芋からはたくさんの湯気が立ちます。
そして信じられないほどの「甘さ」。
熱と芋の水蒸気で焼かれるので、石焼き芋よりも甘さを乗せながら遙かにふんわかと仕上がります。
まさにサツマイモのためのツボ。
全国的に見てももう絶滅危惧種の「つぼ焼きいも」。
是非まだまだ続けて欲しい八戸の冬の味。絶品焼き芋でした。
例年だと11月から3月まで。
この焼きいも、是非一度は食べてみてください。
つぼで作る製法だから皮まで食べられるのも特徴なんですよ♪
byなおき
【データ】
三戸商店
八戸市大字湊町字上中道4-4
8時00分~18時30分
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。