りんごが大好きな私は、
ほぼ毎日りんごを食べています。
その第一の理由は、家に「ふじ」がたくさんあるから(笑)。
収穫箱に入れたまま天然の冷蔵庫(ベランダ)で貯蔵し、
なくなるまで食べ続けるのです!
「ふじ」はもちろんおいしいのですが、
たまには違う品種も食べてみようと思い、
今ではすっかり珍しくなった品種「国光」を買い求めてみました。
「国光」は、
米国バージニア州原産で、
日本へは1871(明治4)年に導入された品種です。
「Ralls Janet」が本来の品種名ですが、
当時の日本は維新後の混乱を脱していなかったためか、
その名称では普及せず、
全国各地で別の名称が使われることになりました。
青森でよく言う「雪の下」もその頃から使われた名称なのでしょう。
「国光」という名称に統一されたのは1900(明治33年)のことだそうです。
このりんごは、
比較的栽培しやすくて生産量が多く、
貯蔵性が高いことが大きな特徴でした。
原産地米国では主要品種ではありませんが、
なんと、わが国では、
一時期(昭和40年代)りんご全体の半分以上を占めほど生産量が増大し、
「紅玉」とともに日本のりんご産業を支える大きな役割を果たしたのですよ。
当時のりんごとしては、
果肉が硬くて歯切れがよく、
独特の酸味がおいしかったため、
生食はもとより、焼きりんごやりんごジャムなどに幅広く利用される品種でもあったようです。
「国光」や「紅玉」から「スターキング」などのデリシャス系へ、
デリシャス系から「ふじ」へと主力品種が移り変わった現在、
国光の生産量はごくわずかで、
お店では滅多にみかけることがなくなりました。
懐かしさに駆られて買ってみましたが、
久しぶりに食べた「国光」は、
ほどよい甘味と食感が予想以上に頑張っていて、
懐かしさより、ある意味新鮮さを感じさせるおいしさでしたよ~。
かつての二大品種のもうひとつ「紅玉」は、
”酸味”という個性が注目され再び人気を集めています。
でも、
貯蔵技術の発達によって、
”貯蔵性”という特徴が武器とならなくなった「国光」は、
いつか消えてなくなる品種なのかもしれません・・・。
そんな虚しさを考えながらりんごの本をめくっていたら、
決してそうではないことに気がつきました。
「国光」の血筋は「ふじ」に引き継がれ、
「ふじ」を通して「金星」や「北斗」「千秋」などの人気品種に綿々と引き継がれていたのです。
どんなに時代が変わろうとも、
どんなに逆風が吹き付けても、
日本を支え、青森を支えた原点のりんご「国光」は、
消えることなく、
永遠に伝えられていくのだと思いました。
by 義人
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。