「八幡馬」をご存知でしょうか。
八幡馬は、南部八戸地方に古くからある玩具のひとつ。
700~750年前、京から流れてきたひとりの男が八戸で木工業を営むようになり、その男が、余暇を見て造った木彫りの馬が今日の八幡馬になったと考えられています。
その後、この木彫りの馬が地域の農民達に伝わって農閑期の副業として造られるようになり、櫛引八幡宮の例祭でお土産品として売られたことから、いつしか「八幡馬」と呼ばれるようになったのだそうです。
もともとの八幡馬は、赤松の木を削り、ニカワでとかした鍋ススを塗って、本物の馬の毛を植え、胴体を千代紙で飾り、あぶみ手綱や鈴をあらわす点を描いた素朴なものでした。
基本の色は、白、黒、赤。背中に人や猿をのせた馬や、車輪のついた台車に乗った馬などいろいろな形の八幡馬が造られていたのだそうです。
(こちらが伝統的な八幡馬。伝承者はおひとりだけなのだそうです。)
南部八戸地方は昔から知られる馬の名産地。南部八戸に住む者にとって、この八幡馬は非常になじみ深いもの。どの家に行っても、必ず一体か二体は玄関か床の間などに飾られていたりします。
馬はもともと邪気を払う神聖な動物として崇められていたため、玩具がいつしか縁起の良い置物となって、広く庶民に浸透していったのではないでしょうか。
そんな八幡馬は、節目に贈る記念品としても定着しています。
例えば別れの日。
白木の八幡馬に、こんな風に寄せ書きしたりします。
結婚祝いや新築祝いには、家紋を入れた八幡馬を贈ることもあるんですよ。
別れの3月。出会いの4月。
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by 義人
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