まるごと青森

金多豆蔵(きんたまめじょ)

津軽百年キャラクター 金多豆蔵(きんたまめじょ)

イベント・まつり | 2008-04-10 12:03

金多豆蔵人形一座

「酒好きで失敗ばかりしている金多と、おっちょこちょいでおしゃべりな豆蔵」。

この二人が津軽弁で掛け合い、ふざけあったり、活躍したりする津軽の伝統人形芝居が「金多豆蔵(きんたまめじょ)」です。

金多豆蔵(きんたまめじょ)

創始者 野呂粕次郎が作った金多と豆蔵は百年キャラクター。

人形劇「金多豆蔵」を考案し、最初に演じたのは旧木造町館岡の野呂粕次郎です。
粕次郎は1884(明治17)年、19才の時に見た上方の人形芝居に感激し、その場で強引に頼み込み、一座に加わって全国を巡業しました。
その後、言葉の違いなどもあって一座の中に溶け込むことが出来ず、一年で帰郷します。
ですが粕次郎はこの一座での経験を生かし、1907(明治40)年に金多と豆蔵という二つのキャラクターを作り上げます。

金多豆蔵の名前は、人は「豆」々しく、健康で働けば、お「金」が「多」く入り「蔵」が建つという意味合いの、とても縁起の言い名前。

金多豆蔵(きんたまめじょ)

酒飲みで失敗ばかりだけど情けの深い金多。
おっちょこちょいでおしゃべりだけど義理堅い豆蔵。
二人が漫才をしたり、冒険をしたりする中に、世相を嘆いたり、それを笑い飛ばしたりする姿に庶民はこのキャラクターに代弁者を感じ、大いに笑い・そして興奮しました。
特に娯楽の少ない働きずくめの農村では金多豆蔵の人形劇はなによりの楽しみでした。
芝居が終わってもすぐに席を立つ人はなく、皆、芝居の余韻を楽しみ、終わりの太鼓でようやく腰を上げる、それほどの人気だったようです。

二代目「幸八」と弟「重成」。
映画とテレビが芝居から遠ざける。

そんな東北中を巡業する粕次郎の人形一座に1914(大正3)年、木村幸八(当時21)が手伝いとして入ります。
幸八は必至に人形の操り方や言い回しを学び、1936(昭和11)年に2代目を継ぎます。
戦争に出兵し、幸八はしばらく人形芝居を休みましたが、1946(昭和21)年に再開。

金多豆蔵(きんたまめじょ)

娯楽の少ない農村にまた明るい光りが灯ったように、津軽の村々から公演依頼が殺到します。

しかし、次第に戦後の物資不足が解消され、経済が次第に回復し、人々が明日の幸せを夢見てがむしゃらに働く高度成長の時代にさしかかると、娯楽の中心にあった映画館も地方に建ち並び、次第に農村地帯にまで映画館が建ちはじめます。
それに伴い公演依頼も年を追う毎に少なくなり、1961(昭和36)年には、とうとう幸八は人形芝居の専業を断念します。
そしてサラリーマンなどをしながら、定年後に細々と人形劇を再開しますが、その間、人々の目から金多豆蔵は遠ざかっていくようになります。
1972(昭和47)年には伝統人形芝居普及の功績により、五所川原市から無形文化財の指定を受けますが、老齢と病気も重なり、公演も思うように出来なくなり、後継者育成を断念します。

そして三代目 巌が立ち上がる。

ところが、県内や県外の方々から郷土に古くから伝わっている伝統人形芝居を、後世に残してほしいとの気運が高まり、二代目・木村幸八さんの甥にあたる、木村巌が1994(平成6)年8月に金多豆蔵一座の三代目を継承することになります。

巌は小さな頃から人形が好きで好きで堪らなかったといいます。
それは幸八とその弟で巌の父重成の影響で、常に自分の周りには人形があり、それに触れていたから、と言います。
幸八が金多豆蔵一座で活躍している頃、弟の重成は勘太金兵(かんた・こんぺい)一座を旗揚げし、やはり人形劇を演じていました。
しかし農業に本腰を入れなければならなくなり、人形劇公演の断念を余儀なくされました。

金多豆蔵(きんたまめじょ)

父が人形劇をできなくなっても、巌の人形師になる夢は捨て切れず、中学を出てすぐに叔父の幸八を手伝い、仕事の合間に修行をしていきます。
6年間の修行の間、巌は幸八から「自分は師匠の粕次郎から教えてもらったものは何一つない。芸は教えたり教わったりするものではなく、盗むものだ。」と言われ、ひたすらに師匠幸八の姿を追いかけてきたと言います。

伝統芸能金多豆蔵には台本はなく、口伝のみ。
片手に一体ずつの人形を持ち、操り、自ら口上する、体中をバラバラに動かし一つの舞台に魅せるとても難しく、しかも腕を上げっぱなしの極めて肉体的にも厳しさを要求させられるものでもあります。

百歳の金多豆蔵の次の百年。

こうして三代目を襲名し、現在では姉の三上輝江の二人で公演しています。

金多豆蔵(きんたまめじょ)

は明治から続くこの笑いあり涙ありの伝統人形劇を小さな小屋でもいいから常設で見せること、と話す巌。
三代目は100才となった金多と豆蔵の掛け合いを今日も演じています。

そして、100才となった金多と豆蔵の定期公演が決まりました。

【金多豆蔵定期公演日程】
■開催場所:津軽富士見ランドホテル 長生殿
五所川原市大字羽野木沢字隈無240-163
TEL0173-29-3260 FAX0173-29-3263
■開催日:平成20年3月 16日・30日(日)
4月13日・27日(日) 5月4日・
18日(日) 6月8日・22日(日)
7月13日・27日(日)
■開催時間:11時から
■料金:大人1,000円 子ども600円
■予約:前日まで
■特典:予約先着20食限定で地元食材をふんだんに使用した女将特製の
「まめし弁当」(1,500円・休憩・入浴料込)がいただけます。

byなおき

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

青森の観光・物産・食・特選素材など「まるごと青森」をご紹介するブログ(blog)です。
青森県で暮らす私たちだからこそ知っている情報を県内外の皆様に知っていただく記事をお届けします。

タグ別記事一覧

まち歩き肉・卵十和田湖アクティビティおみやげ岩のりe-sportsスタンプお家でシリーズBUNACO白神山地体験レポート伝統工芸田んぼアートマグロお土産津軽弁缶バッジ寒海苔お盆スーパー植物#だし青森県郷土料理三味線ご当地蔦沼寺山修司カフェ迎え火・送り火ハンコ担々麺#アートアウトドアツアー歴史・文化紅葉新緑八戸ブックセンターコーヒー嶽きみコケシ辛い#青森県立美術館自然アートランチライトアップイルカプリン熱帯魚クリスマス種差#自然グルメ弘前公園陸奥湾おやき焼き鳥グランピング#エビの釣り堀食堂ブナコ弘前城フェリー三社大祭日記雪見温泉月見#釣りヒバ津軽八甲田尻屋埼灯台館花岸壁朝市ポップアナログレコード#手帳鉄道青森岩木山尻屋埼宵宮横丁露天風呂青森県、色彩#桜りんご三内丸山遺跡白神山地毛豆寒立馬美術館最強毛豆決定戦妖怪#食ねぶた・ねぷた奥入瀬渓流絶景太宰治灯台青森土産きのこ鮟鱇JOMONトーク伝統芸能果物山菜・きのこウニ温泉ジオパーク津軽土産アニメあんこう万年筆えんぶりカフェ・レストラン米・パン・穀物津軽海峡自転車ガイドパッケージ買いクラフト風間浦鮟鱇ステンドグラス建物お酒寿司白神山地周辺津軽弁金魚イベントハンドメイド#郷土料理#青森グルメラーメン野菜居酒屋・バーカレー缶バッジおにぎり海藻唐揚げ#お家ごはん中華料理スイーツ魚介種差海岸まつりカンバッジうにぎりわかめ和栗インバウンド#料理エビチャーハン

まるごと青森Facebookページ始めました。
登録がある方はもちろん、ない方も登録して下記ページで「いいね」のクリックして、まるごと青森ブログともどもご愛顧をよろしくお願いいたします。
まるごと青森FBページ

月別記事一覧

月別一覧ページへ