とにかくワンタンメンばっかり食べる人、飲んでからラーメンを食べに行く人…このブログでも隠れ(てない)ファンが多い新町通り「千成」ですが、このお店が開業76年ということはあまり知られていないことかもしれません。
が、そういうことを知らなくても、「今日の昼飯はどうしよう…」というときに、「あ、そういえば千成のあれもいいな」と思うような、いつでもそこにあるありがたいお店です。今回はそんな千成さんの豊富なメニューから「青森らしい」二品をチョイス。
まず一品目は「ほたて三昧潮らーめん」。
青森県は言わずと知れたほたての一大産地ですが、ここの潮らーめんは…なんということでしょう。麺が見えません。どんぶり一面がほたて貝柱とわかめで埋め尽くされています。ラーメンなのに…
まずスープを一口。あっさり塩味にほたて・わかめの海の香りが優しくとけ込んでいます。続いて具をかき分けて麺を…いいですね。ちゃんと噛む楽しみがある堅さがあります。
…とはいうものの、そんな上品に食べるよりも、やはり具も麺も構わす「わしっ」とつかみ、「ズズー」っと口いっぱいにほおばって、余裕があればスープで追い打ちをかける、というのが正しい食べ方でしょう。「混ぜるとうまい」というのは、意外といろんな食べ物に共通した真理(?)です。
そしてもう一品は「ざる中華」です。
それってどこにでもあるんじゃ?と思ったあなたはきっと青森県民!県外に出かけて行って「ざる中華」というメニューを見たことがありますか?「見たことがない」というのは、県外でざる中華を食べようとしないから気づかないのではなく、おそらくは実際に「ない」のです。
青森ではたくさんのそば屋・ラーメン屋で提供されている…どころか、お金のない学生の頃にはよく家でもお世話になった人も多いであろうこの「普通の中華麺をゆでて水でしめ、そばつゆでいただく」メニューですが、食べられているのはどうやら青森を始めとした一部の地域だけで、せいぜいが東北地方くらいまでのようなのです。つけ麺とは似て非なるこの一品、実は青森らしいものなんですよ。
…と偉そうに書いている私も、最近まではそんなものだとはつゆ知らず(そばつゆだけに)、普通に家でも食べていました。シンプルなだけに違いの出にくいこのメニューですが、千成さんは千成さんらしいタレの味で、「なるほど、お店で食べるとこうなるんだな」と納得させてくれます。
76年前といえば1932年(昭和7年)。戦前です。
店主に伺ったところ「わだしもこごで生まれだんだ」とのこと。このお店は戦前からずっと同じ場所で、変わって行く青森を見てきたのだな…と思うとなんだかありがたみが増す気がするのですが、千成はきっとそんなことを気にしない顔で、当たり前のように青森らしいメニューも提供し、当たり前のように青森の人たちや青森を訪れた人たちの胃袋を満たし続けてくれるのでしょう。
今日もごちそうさま。
(千成さんではマイ箸運動に取り組んでいらっしゃいました)
by くどぱん!
■お食事処 四季の千成
青森市新町2丁目5-3
TEL.017-722-4750
平日 10:00~25:00(ラストオーダー24:30)
日曜・祭日 10:00~20:00
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