津軽と南部の文化の違いを伝えるとき、
私はよく馬肉の話を引き合いにします。
津軽に生まれ育った私にとって馬肉は「ハレ」の食べ物。
何かの機会に父親が手に入れた馬肉を刺身で食べるのが嬉しかったものです。
一方、生粋の南部人、例えば”義人”に話を聞くと様子がまったく異なります。
彼は日常的に馬肉を食べていたと言い、
すき焼きと言えば馬肉が当たり前だったとも言います。
そして今もごく普通に食べる「ケ」の食べ物なわけです。
そんな私も馬肉を食べる機会が増えるにつれてその魅力を知り。
最近では無性に馬肉を食べたくなる時があります。
先日も馬肉が食べたい周期に差し掛かった私は、
4月に東京から青森にやってきた同僚に、
「青森の馬肉料理を食べたことある?」と尋ねてみると、
けっこういろんなものを食べている人にもかかわらず「ない」と答えるので、
「それは良くない。すぐにでも食べに行くべき!」と半ば強引に誘って、
青森市の”吉兆”へ行ってきました。
席について通しで出てきたのが「煮込み」。
しょっぱなから馬肉全開なところに好感を持ちます。
そして、まずは基本の馬刺しから注文。
余分な脂肪のない赤身で構成される馬肉の刺身は、
噛んでも動物性の脂の嫌な感じがないのでとにかく美味しい。
続いて頼んだユッケがまた最高で、
ユッケにしたことで食感が優しくなり肉の美味しさをストレートに味わえる感じ。
馬肉の真価は「生」にある!そう感じました。
次に頼んだのが馬肉のバラ焼き。
初めて食べたこれがびっくりするほど美味しいのです。
絶妙なタレが上手に馬肉と玉ねぎの美味しさを引き出していて、
ご飯があったらお代わりしていたであろう美味しさ。
馬肉の真価は「焼き」にある!そう感じました。
最後に頼んだのはもちろん鍋。
鍋の中で肉とキャベツが上手に味付けされていくこの美味しさは馬肉ならでは。
特にこの味噌風味は青森県南部地方ならではものとも聞きます。
一緒に添えられる南蛮漬けの辛さがまた最高。
馬肉の真価は「煮」にある!そう感じました。
津軽地方の人には必ずしも馴染みのない馬肉ですが、
間違いなく美味しい青森の食文化の一つです。
青森市内でも食べることができるのは嬉しいことです。
■馬肉料理「吉兆」
住所:青森市本町2丁目8-1パークハイツ本町1階
電話:017-776-2850
営業時間:昼11:50~14:00 夜17:00~22:00
※昼はランチメニューの営業です。
定休日:月曜日
by YOSHIHITO
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