「暑さ寒さも彼岸まで」などと言いますが、青森はお盆になると早くも朝晩涼しい空気が漂い始め、近づく秋の気配が感じられるようになります。
私的に秋と言えば食欲の秋であり、それを支える実りの秋であって、体重さえ気にしなければ楽しみな限りなのですが、その「実り」の象徴とも言える稲穂をアートにまで高めてしまった村があります。
その村は「田舎館村」。
昭和50年代に発掘された国史跡・垂柳遺跡は、それまでの弥生時代の稲作の北限についての定説を覆し、これまで何度も米の単位面積当たりの収量日本一に輝いた、米とは非常に縁の深い村です。
初めてに田んぼに「絵」が描かれたのは平成5年。
「米」にこだわった町おこしの一環として、古代米と推定される「紫稲」「黄稲」、県産米の「つがるロマン」を使って岩木山の絵と“稲文化のむらいなかだて”の文字が描かれました。
その後平成13年度までは同一の図柄でしたが、
平成14年度には従来の6倍の面積に「岩木山と月」が描かれ、
平成15年度には言わずもがなの芸術作品「モナリザ」に挑戦し、
平成16年度には遠近法を加えて青森県が誇る板画家・棟方志功の作品を再現し、
平成18年度には「紅都」「紅染」といった赤色の稲を取り入れ…
挑戦と進化を繰り返し、表現力を高めてきました。
そして今年の題材は、景気回復と明るい未来への願いが込められた「恵比寿様と大黒様」。(写真は上が大黒様、下が恵比寿様)
ああ、これは素晴らしい…確かにアートです。美しい。
大きさはなんと縦143m×横104m。
新たに登場した色素の薄い稲が、見事に白を表現しています。
役場天守閣展望室からの見栄えを計算し尽くした遠近法も天晴れです。
モナリザの頃と比べてみれば一目瞭然、その進化はいっそ恐ろしいほどです。
これが稲を使って描かれているとは…
(陰にある苦労が偲ばれるあまり、写真もちょっと曇ってしまいました。)
最近は他の県でも田んぼアートの取り組みを始めていますが、その発祥は田舎館村。
そして現在、田舎館村の田んぼアートは、その規模、図柄の美しさからいって日本一と言って間違いなし!でしょう。
この雄大なアート、これからは徐々に全体が黄金がかってきますが、10月5日の稲刈り体験ツアー直前まで楽しむことができます(稲刈り体験ツアーは無料で参加でき、参加者にはおにぎりと豚汁が振る舞われます)。
(写真はH19の稲刈りの様子)
とことん「米」にこだわった情熱の結晶、見て楽しんだら感謝の気持ちと共に、収穫の喜びを体験してみるのも良いのではないでしょうか。
by くどぱん!
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。