なぜ太い平打ち麺なのか? その理由がわかってきました。
ワタシの黒石やきそばデビューは遅く、今から3年前。
藻川屋さんのお持ち帰りパックとの出会いが最初でした。
むっちりするような太くて平たい麺。
フルーティーで酸味の効いたソース。
初めての味でした。
それからです。
秋元食堂を皮切りに次から次へとお店に行っては焼きそばをいただき、
・・・・・そして、 つゆ焼きそばに出会ってしまいます。
かなりの衝撃でした(笑)
この衝撃をまともに受け、チャンスがあれば焼きそばを追いかける日々が続きます。
弘前に用事があっても隙間を見ては黒石にちょっと立ち寄ったり♪
しかし、こんなにお熱だったのにわからなかったことがありました。
それは、
「黒石焼きそばの特徴である『ふと平麺』の秘密」
どうして丸でなく、正方形でもなく、長方形なのか。
この平たい麺の幅には理由があるのか?
このことをいろんな方に尋ねても、昔からそうだった、というばかりでワタシの疑問は解決できずにいました。
しかし、その長い間の疑問が先日解けます。
その答えをくださったのは、黒石市で製麺業を営む「やぶや」さんでした。
やぶやさんは戦前から黒石市で製麺業を営む老舗です。
当時は冷蔵品の輸送などまだなかった時代。
なので、津軽そばはもちろんですが、保存が利くうどんの「乾麺」も製造していました。
黒石は米どころ。
黒石米と言えば、当時から寿司屋が自信を持って薦めた銘柄米。
小麦を求め、黒石の米を持って県南に行き、物々交換してた、といいます。
そして極めて高価だった時代に麺切り機を購入し、生産量を増やしていったといいます。
戦後しばらくの間も津軽そばと乾麺が中心のやぶやさん。
黒石で戦前、戦後通して食べられてきたのが、この乾麺を茹で、やわらかく茹で上げたものを醤油で炒める、いわゆる醤油焼きうどんでした。
それを焼きそばと言っていたといいます。
黒石ではこうした食の土壌が形成されているところに、中華そばが浸透していきます。
やぶやも中華麺への対応をお得意様からお願いされ、生産しようとします。
しかし中華麺を正方形に切りそろえたいのに、麺切り機の刃の幅は変更できません。
こうして生まれたのが乾麺サイズの生の中華麺。
そう、黒石焼きそばの麺の誕生です。
ここからはあくまでも想像ですが、
しばらくの間は、うどん乾麺、中華麺とどちらも使われながら、次第に生の中華麺のコシや食感、風味などが黒石市民に受け入れられ、今の太くて平たい中華麺が安定していったのだと思います。
ルーツは製麺機にありながらもこの太くて平たい麺は、ソースのからみと独特の食感や食べ応えを与えてくれたことから、黒石になくてはならない麺になったのではないか?
そんなことを考えながら、黒石焼きそばの麺を持ち上げ、太くて平たい麺の断面を見てしまう焼きそばヲタなワタシでした(笑)
byなおき
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