世間には”十年一昔”という言葉があります。
十年前は何をしていましたか?学生?ピカピカの社会人?え…中学生?う゛ぞ??
…ともあれ、多くの人にとって、十年以上前のことはなんだか昔のように感じられるものだということでしょう。
その”十年”という年月をそれぞれが重ね、十年前と同じく東京に集った職人さん達の展示が行われている…と聞きつけ、文京区小石川の『スペースたかもり』にお邪魔しました。
その企画展は”弘前のクラフトマン それぞれの10年目展”。
出展者は武田孝三さん、大湯浩之さん、須藤賢一さん、土田亙さん、安田修平さんの5名。
この皆さんをつなぐのがこのギャラリーの主宰者、高森寛子さん。お生まれは東京ですが、縁あって青森に関わるようになって、今は青森が大好き!とおっしゃってくれる素敵なご婦人です。
高森さんの本業はもの書きさん。取材を重ねるうちに青森の作り手さんと知り合ってその輪が広がり、平成10年に”使い手と作り手をつなぐ”拠点となるギャラリーをオープンする際に、今回出展されている皆さんが室内のさまざまな造作をしてくれたのだそうです。
それから十年。当時からの仲間が再び集まって展示するなんて、ちょっと素敵ですね。
では、作品を拝見いたしましょう。
手前に見える器などが須藤さんの作品、奥に見えるのが主に大湯さんの作品です。棚に見えるものも作品なんですよ。
中で気になったのがこれ。側面のギザギザというか、津軽塗りでは珍しい細工ですね…持ちやすそうだし、色味といい、私のような渋いオトナに似合いそうです。
偶然作者の須藤賢一さんがいらしたので聞いてみたところ、木地の段階からこのような細工をしてもらっているのだとのこと。なるほど…え?「狂った器」?これがですか?
と須藤さんが器をひっくり返すと…あれれ、なんだかまん丸ではありませんね。でもなぜ…?
答えは「狂わせたかったから」だそうです。
あう、深いです…素材のありようをそのまま受け入れるということでしょうか。
ええとですね、言いにくいんですが私、こういったものあまり見る目がなくて…
「自分でいいと思えばそれでいいんですよ」と高森さん。須藤さんもなんだか笑ってます。
…そうですか。助かります…では他の方の作品も。
このあたりは土田さんの作品。左上に見えるのはお膳だそうです。おもしろい形ですね。上に乗ってる寄せ木の箱や右の写真のブローチも、落ち着いた木目の中に、カラフルと言いたくなるような、それぞれの木の色が美しく出ています。
こちらの陶磁器は安田さんの作品。部分部分にいろんな細工がされているものが多いですが、私が特に気に入ったのは右の写真。”注器”なのでお醤油とか入れるんでしょうが、すっごいユーモラスな形です。ゾウ?タコ?食卓にあると食事が楽しくなりそうですね。
…というような作品の数々、今回もまた全部は紹介しきれないのが残念ですが、どれもこれも見ているうちにだんだんと引き込まれていくような魅力的なものばかりでした。
期間が残り2日とご紹介は遅れてしまいましたが、青森の技とその魅力がいっぱいの企画展、時間があったらぜひご覧ください。きっと思った以上に楽しいですよ。
by くどぱん!
○「弘前のクラフトマン それぞれの10年目展」
会期:12月3日(水)まで
時間:11:00~18:00(12月3日は16:00まで)
場所:スペースたかもり
文京区小石川5-3-15-302
tel.03-3817-0654
※地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅徒歩3分(1階が和菓子「一幸庵」さんです)d0007875_23115656.jpg
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