太宰治は、「津軽の旅行は、五、六月に限る。」と言っています。
梅雨らしい梅雨のない青森は、この時期の空気がとても心地よく、新緑も鮮やかで旅をするには絶好の季節、というわけです。実際、小説「津軽」を書くために太宰は5月中旬から6月のあたまにかけて青森を訪れています。
そして旅といえば当然地元のおいしいものが食べたいわけで…と強引に話は進み、今回は「弘前にいい居酒屋さんがありますよ」と聞き、そのお店「わらじ屋」に行ってきました。
お店は開店して27年。店内に入るといくつもの津軽凧が目につきますが、これはプロが描いたものではなく、開店時にお仲間が描いてくれたものだそうです。「だいぶくすんできちゃったけどね」なんて言いますが、いえいえ、それがお店の歴史ですよね。
店内には津軽三味線が流れ、つくりも民芸調で落ち着いていていい感じ。そして徳利もマスター手作りのものとくれば、入店3分で今日は地酒満喫コースに決定!(笑)
さて、食べ物は…津軽の基本の「キ」である貝焼き味噌は当然いただきましょう。ミミ(卵巣や精巣)まで入ったちょっとぜいたくなお味。カレイの唐揚げはおろしてから揚げてあり、骨までポリポリといただけて、これがなかなかの美味。お酒がすすむ~
それからお勧めとして出していただいた”アサリとアイヌネギ(行者ニンニク)とタケノコの煮物”…な、名前が長いです。
アイヌネギはこの辺では早い時期の山菜(訪問は4月中旬)で、朝晩まだ涼しい時期には温まって嬉しい一品です。しかし香りは結構きますね…
そして”カモりんご”
一見、りんご?という感じですが、良く見ると鴨肉の間にスライスして軽くあぶったりんごが挟まっています。そして、上にかかっているのは単なるマスタードではなく、おろしりんごにマスタードを混ぜたもの。
口に入れると「ふわー」とりんごの香りが広がり、柔らかい鴨肉とよくマッチしています。そして豊盃をクイっと、追い打ちをかけると…ああ、幸せ。
そんなこんなで夜は更け、お店を出たら表の看板の灯りが消えてしまって…て、ええ??
いやいや、きっと今日は最初から灯りがついていなかったに違いない、と自分に言い聞かせ、帰路についたのでした。
by くどぱん!
○わらじ屋
弘前市本町85-1 明治屋グランドビルIF
TEL.0172-36-1178
営業時間:16:30~24:00頃(日曜定休)
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