「おにぃ~のパンツはいいパンツ、強いぞ、強いぞ♪」と、鼻歌を歌いながら向かったのは青森県立郷土館。
前から気になっていた話題の企画展「妖怪展」を観賞してきました。
もともと姿かたちのない存在、または鬼の姿として認識されてきた妖怪の世界。
室町時代から道具や動物たちが変化した「つくも神」や化け物たちとして描かれ始めたそうで、こちらでは琵琶や傘、蛸や蛙などが描かれた百鬼夜行や、孫悟空やろくろ首、欧米の船を頭に乗せた化け物などが描かれた幕末の画本西遊記百鬼夜行之図などが展示されていました。
また、日本各地に出現した化け物の出現情報を記録したものもあり、その中には津軽地方で秋になると出現する粟穂を食べる生物も。
当時、藩領を越えて各地の情報交流があり、江戸にその情報が集まっていたんだとか。
それを図鑑のように描いたのが鳥山石燕。このころから化け物たちは定型化し、実在の恐怖の対象としてだけではなく、娯楽性も持つようになったそうで、昭和40年代にブームを呼んだ水木しげるによる妖怪漫画にも影響を与えたといいます。
下川原焼でも鬼がモチーフになっているんですねぇ♪
そして進んでいくと、怪しげなお家が・・・。
備後国に住む16歳の稲生平太郎の邸宅に、約1ヶ月にわたって毎日現れた化け物を平田篤胤が紹介した稲生物怪録。
その写しを津軽の今村真種が入手し、平尾魯仙に依頼して原書の意をそのままに、描いた資料とともに、それを映像で見せているんです。
生首が飛んでいたり、妖魔が議論していたり・・・不思議な世界です。
郷土館のブログでも紙芝居のように紹介されています。
そして、弘前にある鬼神社の鬼面。なぜか角がありません。
また、鬼神様の御神体が入っていたという箱や鬼女が証文を入れて埋めたといわれている石櫃など不思議なものも。
弘前では、鬼を神様と尊敬している地域があり、節分の時にも豆をまかないんだとか。
そして、みなさまお待たせしました!!
天狗のミイラ!!
八戸南部家で持っていたものだそうで、痛みも激しくなってきているため、この展覧会以降は公開しないかもという噂!!お見逃しなく!!
続きまして、同じく八戸南部家で持っていた人魚のミイラ!!
こちらの人魚には頭が2つあります。
そして、外ヶ浜町平舘地域の網にかかったという顔が人、体が魚の化け物の記録や、弘前藩兵学者横山家や所蔵していた「御画男人魚」も。
包紙の記述によると、この魚を見る者は長寿になるんだそうで、弘前藩の若殿が「母親に見せよ」と筆者してくれたものだとか。なんと優しいお殿様♪
そして、保存状態がよく色鮮やかな十王図(鯵ヶ沢町・高澤寺蔵)。冥土に行く途中に10人の地獄の王たちに裁きを受けるという場面を描いたものなのですが、それとセットで裁きの様子を木で造ったお人形(三戸町・林泉寺蔵)も。
地獄絵は、金木の雲祥寺で太宰も見て怖がったという話があるように、悪いことをすれば地獄に落ちるという道徳的な意味合いがあったんでしょうね。
そして、最後の最後、「断首図」(弘前市・正傳寺蔵)。
暗殺されてさらし首にされたものをスケッチしたもので、血の部分は本物の血なんだとか。きゃ~~!!
以前、テレビの生放送で紹介されたとき、閉じている目が開いたと評判になったアノ絵ですぅう~~!!
もう1本も僧侶の断首図で、この2本の軸を持っているとタンスが鳴り、母親も体調を壊したため、お寺に移されたんだそうで・・・。
ということで、鑑賞されるコースとしては、断首図を見た後は、戻って人魚の絵を見て長寿を祈ってから、断首図を見ないように注意して帰りましょうね!
神、自然界への畏敬の念、不安と恐怖・・・、さまざまな角度から異界を探求できる展覧会、シルバーウイークにいかがでしょうか。
帰りは背中をゾクゾクッとさせながらも、鼻歌はもちろん「ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ~~~♪」
by Kuu
《妖怪展 ~神・もののけ・祈り~》
会 期 2009.8.28(金)-10.12(月) 9:00-18:00(会期中は無休)
観覧料 一般500円、高大240円、小中無料
場 所 青森県立郷土館(青森市本町2-8-14)
電 話 017-777-1585
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