先日、ミニりんごの一種「アルプス乙女」を頂戴し、口にする機会がありました。
同封されていたメッセージによると、”冷凍してオンザロックの氷代わりにすると、飲む際にりんごの甘い香りが漂う”のだとか。(最後はもちろんおいしく食べられるそうです)
手近なグラスでオンザロックのまねごと…って、グラス小さすぎ(^^ゞ
アルプス乙女はその名前が示すとおり、残念ながら青森県でできた品種ではありません。
ふじと紅玉から生まれたものとされていますが、DNA分析によるとふじにヒメリンゴの花粉が受粉してできた可能性があるのだとか。あれれ、そういうものですか…
一個が50gほどというかわいらしいりんご。右は早生ふじ
スーパーではあまり見かけませんが、道の駅などでは時々見られるほか、見た目のかわいらしさから園芸用に苗で売られたり、枝ごと生け花用に売られたりもしています。
ちなみに、りんごは同一品種の花粉では受粉しにくいものなのですが、この品種は単独でも受粉するので園芸用にもできます。(りんご畑では花粉樹として植えられているケースも多いそうです)
さて、何年ぶりであったか、数えることをはばかるほどに年数を経て口にしたそのりんご。
お前も親がはっきりしないとかいろいろあるんだなぁ…などと思いながら囓りつくと、いずれにしても片親(?)はふじということもあり、小さいながらもしっかりした歯ごたえとほどよい酸味を持ち、”ああ、こういう味だったっけなぁ”とおいしくいただくことができました。
その懐かしい味と共に思い出したのは、小さかった頃の出来事。
秋のこの時期、りんご農家であった両親はりんごの収穫に追われ、天気の良い日曜には「手伝ってくれたらおいしいものを食べさせてやる」などと、口実をつけて私たちをりんご畑に連れ出したものです。
しかし、手伝いと言っても小さな子供に普通のりんごはいかにも大きく、両手を使ってもなかなか上手にもぎ取ることはできません。あっという間に飽きてしまうのも、ある意味やむを得ないことでしょう。
そうしてりんご畑を遊び回っているうちに見つけたのがアルプス乙女。
小さいことはもちろん、鈴なり、と表現すればいいのでしょうか、一カ所からいくつも実がなっている様子、しっかりとした濃い色あい…りんごの新種を見つけた気分になった私は、どうしてもそれを学校に持って行って自慢したくなりました。
まあ、今にして思えばまともに選果をしていたように見えませんでしたから、きっと花粉用の樹で、親にしてみれば”おとなしくしてるんならいくらでも持ってけ”てなもんだったことでしょう。
学校に持って行ったらみんなびっくりするだだろうなぁ…と思いながらいくつかの手籠を小さなりんごでいっぱいにした頃、短い秋の日は西に傾き、長い影が落ち始めます。
夕日を浴びるトラックにはたくさんのりんご箱が積み込まれ、子供たちは畑に散らばった手籠を集めて回る…急に冷え始める空気に冬の予感を感じながらも嬉しい収穫の風景は、私にはあの時にもいだアルプス乙女と結びついて残っています。(学校に持って行ってみたらそれほど受けなかった記憶と共に(笑))
りんごは品種の移り変わりも多く、昔食べていた品種が手に入らなくなったりもするものですが、思い出のりんごが未だに食べられるって、なんだか嬉しいものです。
皆さんも道の駅などで見かけたら一度食べてみてください。りんご一個はちょっと…という方も、完全食べきりサイズで冷蔵庫に常備したら意外と便利かもしれませんよ。
by くどぱん!
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