「なぜ歩くの?」
「その先に光があるからさ」
と言った人は聞いたことがありませんが、なにやら人生を語るような深みがあって、自分で書いておいてなんですが、意外なほど良い言葉で驚きです。
とはいえ、さすがにここでいきなり人生の光を探す旅に出るわけにもいかないので、とりあえず、文字通りの「光」を見に出かけてきました。(なんというムチャぶり(;^_^A )
「光」とは、弘前の冬を夜を彩る「弘前エレクトリカルファンタジー」。
もともとは、平成3年の台風19号で大きな被害を受けて沈んでしまった街中をなんとか明るくしよう、と追手門広場にイルミネーションを施した「追手門広場のクリスマス」がその始まりです。
翌年には弘前市役所前にもイルミネーションが灯り、その後洋館のライトアップがされ…と、今年は洋館など18の文化財ライトアップと、市内10地点でのイルミネーション点灯が行われています。
さすがに一度には回りきれませんが、お城から遠くない場所にいくつもの施設があるので、実は歩いても十分、楽しむことができます。
というわけで今回は、先日私がたどった「光」たちをご紹介しましょう。
まずは、弘前昇天教会を起点に最勝院五重塔を経由し、青森銀行記念館へ。
昇天教会は年月を経て生み出された外観や、今も時を告げ続ける鐘楼の陰影が美しいし、青森銀行記念館はさすがは堀江佐吉の代表作、夜でもどっしりした重厚感があります。
惜しいのは五重塔。離れて見てもなかなかの風情…なのですが、実は夜は門が閉まっていて近くまで行くことができません。残念…
さらに徒歩5分で弘前市役所。イルミネーションは早い時期から行っていましたが、ライトアップは今年が初めて。これは良い。きれいです。
(でも新雪があったりするともっときれいだろうなぁ…と気を取られて、すぐ近くでライトアップされている追手門を取りこぼしました。ぎゃふん)
次いで向かいの追手門広場へ。旧弘前市立図書館、旧東奥義塾外人教師館があります。
追手門広場で意外に拾いものだったのは、ミニチュア建造物群。雪囲い(?)がされて、鉄パイプがちょっと気になりますが、これがなかなかいい感じ。
さすがに左の「角み呉服店」は分かりませんが、真ん中の「かくは宮川」は本当に小さい頃訪れたことがあります。建設当時は今のように周りが明るくなくて、実際こんなふうに見えたのかもなぁ…と想像が広がります。(※この二つは現存しない建物。「かくは」に行ったことがあると…年がばれる!?)
そして右は旧弘前偕行社。なるほどそうか、夜はこんな風に見えてたんだっけ…
そんな懐かしさに浸りながらラストスパート。日本キリスト教団弘前教会、カトリック弘前教会と回って、市立百石町展示館へ。
こちらの2つの教会は、昇天教会と外観は全く違うのですが、実は中に入るといずれも「和」要素が取り入れられているというのが、いかにも弘前らしい教会です。(※夜は外観のみ)
そしてゴールの展示館。呉服店の店舗として建築された土蔵造りの建物です。
そんなこんなのこのコース、所要時間はおよそ1時間半。でもちっとも長くないですよ。
歩いているうちに空気になじむ、とでも言うのでしょうか、その「凛」と冴えた空気感まで含めて、日中とは違う光をちゃんと見れてくるというか…ここだけに限った話ではないですが、やっぱり歩いてこその良さというのはあるんですよね。
とはいえ、あまりじっくり冬の空気に浸っているとさすがに寒くなるので、そこはほどほどに。
ちなみに最後の百石町展示館は飲食街にほど近い場所にあるので、その後余韻を楽しみながら熱燗で体を温めるというのは、私的にとても正しいあり方だと思います。
ぜひお試しあれ。
by くどぱん!
(ひっそり「津軽弁の日in東京」のエントリーを更新…音声もあげました)
○弘前エレクトリカルファンタジー
期間:平成21年12月1日(火)~平成22年2月28日(日)
時間:日没(午後5時頃)~午後10時
場所等の問合せ:弘前市立観光館 0172-35-3131
※2/11・13・14はゴスペルライブを実施
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