喫茶店の多い街、珈琲文化がある街、弘前。
弘前における珈琲の歴史は、なんと約150年前まで遡っちゃうんです。
1855年、幕府の命により北方警備のため、弘前藩士が蝦夷地(現・北海道)に赴き、その時寒さやビタミン不足による不治の病・浮腫病の予防薬として配給されたのが珈琲でした。
それが、庶民としては日本で初めて飲んだといわれる珈琲■『藩士の珈琲』なのです!!

20年以上も弘前の珈琲文化について研究をされている■成田専蔵珈琲店の成田専蔵さん。

その熱意といったら、宗谷岬に旬難津軽藩兵詰合記念碑を建立しちゃうほど!!

その研究成果を街づくりに活かそう、弘前の珈琲の歴史を少しでも感じてもらおうと地域の喫茶店に声をかけ、この『藩士の珈琲』の取り組みがスタートしました。
当時の豆は、世界最大だった貿易会社東インド会社から入ってくる和蘭コーヒー豆で、長崎の出島から入ってきました。
当時は、高級藩士、通訳、遊女など一部の人しか飲めなかった高級品の珈琲。
オランダ医学を学んでいた広川獬が浮腫病に効くと1803年に発表。
18世紀末、ロシアの南下に対応するため、寒さになれた弘前藩も警備要員として蝦夷地に出向くよう幕府から命じられました。
その中の1855年の派遣の際に、浮腫病の予防薬として幕府から珈琲の配給を受けています。
その当時の作り方を古文書にあるとおりに再現したものが、『藩士の珈琲』。
簡単に説明しますと、
1、すり鉢に焙煎豆を入れ、よくすり潰して粉にし、麻袋に入れる。

2、お湯を入れた土瓶の中に麻袋を入れ、振り出しながら色の出具合を見ていく。

3、湯呑み茶碗に注ぎ、お好みで砂糖を入れて飲む。

現在のティーバックのようなイメージです。
ゴリゴリとすり鉢で潰し、麻袋をチャプチャプと揺らし、その湯気とともに香りを楽しむ♪
なんとも豊かな時間♪
お味は、優しい薄味のとろりとした飲み口。
体験コースもあって、きっとこれって「日本発の体験する珈琲」なのでは!!って思っています。
成田さん曰く、
「珈琲文化は寒いところほどのびる。
北欧では、年間一人当たり1,300杯くらい珈琲を飲むのに対して、日本は333杯。
青森は日本で8番目にコーヒー飲料を飲んでいる県。
家計調査のため県庁所在地の青森市の数値になってしまいますが、これが弘前市だったらもっと上位かもしれない。
弘前は珈琲文化が育つ風土なんです。」と。

また、弘前の珈琲の苦味は独特だともいいます。
「珈琲の苦味は、食文化と直接関わっていて、農村部と都市部とでは違いが出る。弘前の珈琲は深い苦味があり、港町である神戸の珈琲に似ているといわれることが多い。
弘前は根っからの気位の高さ、ハイカラ気質から、内陸地であるにもかかわらず、上質な苦味のある珈琲を出す喫茶店が残った。弘前は他の農村部に比べ、ギャラリーや美容院、スイーツのお店が多く、お洒落をする場所が多い街。心も身体も磨いた女性が最後に求めるのはおしゃべり。そのコミュニケーションの場が喫茶店。喫茶店は街の艶なんです。」と。
今は珈琲がすぐに手に届く時代になりましたが、弘前藩士が薬として大事に飲んだということを想像しながら、『一杯の珈琲のありがたさ、精神性』を感じてみませんか。
2月28日まで、「弘前はコーヒーの街です委員会」加盟の15店舗で「珈琲の街ひろさきスタンプラリー」を開催中♪
スタンプ3個でオリジナルマスコットがプレゼントされるそうです。
私はあと1個だわ♪
by Kuu
《「珈琲の街ひろさきスタンプラリー」問合せ先》
弘前は珈琲の街です委員会(成田専蔵珈琲店)
弘前市城東北2-7-4
0172-28-2088
「藩士の珈琲」は、10店舗で飲むことができます。