史上最強の国家といわれる古代ローマ帝国。
「古代ローマ帝国の遺産」展は、ローマ帝国の機構が確立し、芸術・文化の面で新たな傾向が現れたアウグストゥス時代の壁画・彫刻・工芸など壮麗な作品によって文明の全体像を紹介する、かつてない規模と充実した内容の展覧会。
現在は、青森県立美術館で開催されています。
ナポリ近郊にあるポンペイ遺跡は、ベスビオ火山の大噴火により、1700年もの間、発掘されるまで、すっぽり火山灰に埋もれ、時が止まっていた都市。
悲劇ではありましたが、その一方で、当時の都市の様子がタイムカプセルのように保存されていたのです。
ワタシも数年前、イタリアに旅したことがあります。
ヴェネチア、フィレンツェ、ローマ、ナポリなどを巡り、特にフィレンツェでは、ウフィツィ美術館ではヴィーナスの誕生を観たり、アカデミア美術館では2時間くらい西洋人に紛れながらひとり行列に並びダヴィデ像を観たりと、結構、お印的な作品は観たつもりだったのですが、ナポリからはサンタルチアの歌声に引き寄せられるかのようにリゾート気分で、カプリ島の神秘的な「青の洞窟」を満喫してしまったワタシ♪
ポンペイ遺跡に行くスケジュールが取れなかったんです(笑)。
ということで、今回の展覧会は、行けなかった遺跡ポンペイも紹介されるし、本邦初公開のお宝も多いようですし、とっても楽しみにしていた企画!!
今回は、基礎知識もない状態での鑑賞なので、音声ガイドをお借りしてみました。
館内は撮影禁止です。今回は許可をいただいて撮影しています。
美術館がお好きな方だとご存知かと思いますが、作品の前に立って、ボタンを押すと説明してくれるという優れものなんです!!
今回の展覧会の音声ガイドは、プロローグ、21作品、2つのエピソードなど、約30分で回れるようになっていました。
まずはアウグストゥスの胸像などが並ぶ展示室からスタート。
なんだかみんな綺麗なアーモンド型の目をして穏やかに見えます♪
図録を読むと、王ではなく市民の第一人者であることを強調するため、ギリシアの様式が取り入れられ、それからこの様式が帝国各地でブームになったんですって。
次の展示スペースまでの壁沿いには、右足の断片が。
展示されている右足は、3メートルの勝利の女神像に属していたと推定されるそうです。
完全な姿だったら圧巻でしょうね~。
た、高さ2メートル、重さ3トンの大理石のアウグストゥスの像も!!
巨大ですが、身にまとった衣は、間近で見ると、これまたおくちアングリ、リアルな質感でお見事です。
「黄金の腕輪の家」と呼ばれる個人の邸宅で出土した、高さ3メートルほどの居間を飾る壁画と食堂に設置されていたモザイクの噴水も展示。
映像室では、この邸宅の在りし日の姿を、最先端のコンピュータ・グラフィックスで復元した映像が放映されていて、その豊かな様を見ることができます。
それによると、空洞になっているところから昇る階段があり、噴水の前で、寝転がりながらお食事したんですって♪
壁画に自然に植物や鳥などを描き、居心地の良いプライベート空間で、本を読み、お食事をする・・・
なんだか優雅ですね♪
ブロンズの「アレッツォのミネルウァ」はイタリア国外にお出かけするのは今回が初めてという国宝級のようです。
最後の展示スペースには、農具やジュエリー、コインなどが展示。
ここのスペースで、青森会場独自の技術力を活用した展示があるんです。
それは、コイン一枚で裏表が見れてしまうミラー。
といってもただのミラーではありません。
通常、ミラーに写しだされるものは反転していますが、このミラーは反転しない状態で、しかもクリアに見ることができるんです。
イタリアのオリジナルのコインの裏面は、もともと反転した状態で刻まれているので、気付きにくいのですが、行かれた方は、是非、ジーーッと観察してみてくださいね。
名刺で試すとこんな感じだそうです。
この技術、青森の企業「テクニカル」と「今木地製作所」の技術なんですよ!!
この技術があれば、一枚しかないコインでも同時に両面を見ることができたり、これから美術など立体で紹介するものに色々活用できそうですよね!!
さてさて、作品をあまりご紹介し過ぎるとこれから観る方の楽しみを奪ってしまうのでこれ位にして(笑)。
こちらの美術館、三内丸山遺跡の発掘現場をイメージして作られていて、多くの展示スペースは土の壁。
それはそれは、まるで土や灰から発掘したポンペイ遺跡の現場を連想させ、臨場感がアリアリ!!
この展示、作品のスケールといい、ここの美術館のためにあるような企画です!!
ボランティアによる解説ツアーもありますので、気軽に出かけてみてはどうでしょう。
優雅な気分で当時の人たちの暮らしぶりを体感できますよ!!
by Kuu
《古代ローマ帝国の遺産 -栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ》
会期 2010年4月10日(土)-6月13日(日)※会期中無休
会場 青森県立美術館
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。