「風薫る5月」などとよく言われるように、春の風が気持ちの良い時期となりました。
奥入瀬渓流の新緑もきれいでしょうし、りんごの花も咲き乱れる季節です。
…いやしかし、その薫る風の中であえて自分を見つめ直してみるのも良いのではないか。
ではどうするか、そうだ、座禅という手があるではないか!
というわけで強引にもほどがありますが(^_^;、以前、禅林街の記事で積み残した書ききれなかったネタをご紹介したいと思います。
まずは座禅体験から。
こちらは5名以上になりますが、事前の申し込みで誰でも体験することができます。
実は中学の頃に部活で「精神修養」と称して体験したことがありますが、それ以来です。
ああ、あの頃の純粋な私はいったいどこへ…(←それ必要?)
最初に、お堂で住職さんから座禅の説明を聞きます。
「あれこれ考えず、ただ座禅をすることに集中しましょう」
「寝てしまったら起こすために警策(きょうさく)で肩を叩くこともありますが、動いたからといって叩いたりはしません。ただ、手を合わせて合図をすれば叩いてあげます」等々。
…えっ?そんな…叩かれる?親父にもぶたれたことないのに!(誰)
盛雲院さんには座禅堂があるので、そちらへ移動して座禅開始。
…
……
何も考えないってのも難しいなぁ。何を考えればいいのかな?(←いや、だから…)
というようなことをぐだぐだ考えてるのも最初のうち。
しばらくすると、まあ何も考えてないわけではないですが、すーっと、なんだか心が穏やかになってきます。(注:だからといって寝てるわけではありません)
合図の鐘が鳴って、終わってみると意外と短い30分間。
途中、あえて叩かれる人がいるのも、終わって立ち上がるのに一苦労なのもご愛敬。なんだかすっきりして、心がちょっときれいになった気がするなぁ。
なんて思いつつ、次の目的は栄螺(さざえ)堂。場所は黒門のすぐそばです。
内部が回廊になっており、螺旋状の構造が栄螺に似ていることからそう呼ばれますが、こうした建物は全国的にも珍しく、東北には会津若松と弘前の2カ所にしかありません。
ちなみに、俗称は「六角堂」ですが、建物は実は八角形をしています。
案内板や市のHPによると、この建物は天保10年(1839年)、時の豪商中田嘉兵衛の寄進により、海難で死亡した者や天明天保の大飢饉での死亡者の無縁の諸霊冥助(供養、ほどの意味でしょう)のため建立されたものとされています。
内部は非公開と思われがちですが、実は、近くの蘭庭院さんから鍵を借りて中も見ることができますので、今回は内部もご紹介しましょう。
扉を開けると正面に観音像が置かれ、その左手から右回りの回廊が始まっています。
1周ちょっとで頂上に達し、そこからはまっすぐな階段で「すとん」と降りてきて、右手に折れると最初の場所に戻ってくる、という構造。
途中、右手(=建物の中心側)にいくつもの仏像が置かれており、天井には龍の画が描かれたりしています。
なるほど、供養のための建物であるという雰囲気が確かに伝わります。
けど、それがどうして栄螺堂?…というわけでお勉強。
wikiの「栄螺堂」の項目を見ると、「仏教の礼法である右繞三匝(うにょうさんぞう)に基づいて、右回りに三回匝る(めぐる)ことで参拝できるようになっていることから、本来は三匝堂(さんそうどう)という」とあります。
右繞三匝?なんだか分からない言葉が出てきましたが、調べてみるとインドの礼法なのですね。体の右が浄身浄肩とされ、こちらを中心に右廻りをすることで、死者に対しての最高の礼をつくす、という意味を持つそうです。
なるほど…右回りであがっていくことにもちゃんと意味があるのですね。
ひっそりと小さな栄螺堂だけど、そうした意味も含めて、深い祈りを込めて作られたんだなぁ…と思うと、なんだかもう一度手を合わせたくなる建物です。勉強になりました。
by くどぱん!
○禅林街座禅体験
5名以上、2週間前までの申し込み
(※申し込み後に体験場所を調整するため、体験するお寺の指定はできません)
料金:1人300円
問い合わせ:弘前観光コンベンション協会(TEL.0172-35-3131)
○栄螺堂内部見学
蘭庭院(TEL.0172-32-6556)に事前確認のうえ、鍵を借り受け
案内不可、積雪期間は内部見学不可
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。