「落人の里」とも呼ばれる十和田市深持の梅集落。ここには、昼夜を問わず、集落を守っている守護神がおります。
かやで作った男女一対の人形です。手を広げ、「悪いモノはここから先は通さない!」と言わんばかりです。このかや人形は、悪魔の進入を防ぐために作られた、とも、天明の大飢饉の際に妖魔の進入を防ぐために作られた、とも言われているそうです。
かや人形は「人形結い」という神事で毎年作り替えられています。かつては旧暦6月24日に当たる日に行われていましたが、現在は6月15日に行われており、今年も素晴らしい青空が広がる中、神事が行われました。
朝8時、集落の人たちが集まり、集落でとれたかやを束ね、人形の胴になる部分から作り始めます。
当日の役割は決まっているそうで、別の人は、かや人形に巻き付けるゴザに、梅集落ということで「梅」の紋様を描いていきます。ちなみに、描くのに使った道具はポリバケツのふたと茶碗とマジック・・・。何というか、その・・・。紋様を描く理由を尋ねたところ、「何もないと寂しいから」と、ちょっとお茶目な(?)返事が返ってきました。
ところでこのゴザですが、かなり前(昭和30年代?)に亡くなった方が手動の編み機で作った大変貴重なモノで、たまたま集落内の小屋から大量に見つかったそうです。
さて、胴と二本の足が形作られると、こんな感じになります。
これをギュッとまとめ上げる(縛り上げる)と、だいぶ人形らしくなります。そして、胴部分のかやをかき分け、腕を差し込んで取り付け、さらに、5本の指(!)まで細かく形作ります。
貴重なゴザを巻き、顔を描き上げる(下書きなしの一発勝負!)と、外観はほぼ完成です。
そして、いよいよ登場するのがコレ。
男性用の刀2本と女性用の脇差し1本、そして女性用のクシに加え、何とまぁ、大変リアルに作られた男性のシンボル・・・。髪の毛部分を整え、これらを取り付けるとかや人形の完成です。
完成したかや人形は、集落の外れにある設置場所に運ばれ、それまで1年間集落を見守ってきたかや人形と交換されます。
役目を終えた前の年のかや人形は、裏山で朽ちさせ、自然にかえすそうです。・・・1年間、お疲れさまでした、ですね。
この「人形結い」、神事ということで大変おごそかに行われるのだろうと思っていましたが、人形作成中も冗談や笑い声が飛び交うなど、実に和やかに、そして楽しく行われた、という印象です。
ところで、かや人形作りと同時並行的に行われるのが、そばもち作りです。完成したかや人形にはそばもちを刺し、1年間の無病息災を願うわけですが、振る舞い用のそばもちも準備され、早速いただいてみると・・・
う、ウ、ウゥ、ウマ~イ! 間違いなく星3つです~!!
一緒に訪れたkuuさんも私も、あまりにおいしいので、3本ずつペロッといただいちゃいました。写真の後ろに写っているのは「落人の里の水」で、これまた美味です。さらにkuuさんにいたっては、車の運転で飲むことができない私を横目に、神事でふるまわれた御神酒まで堂々といただき、たいそうご満悦の様子・・・。
7月19日の海の日には、梅集落の近くにある板ノ沢集落で「人形結い」の神事が行われます。
こちらのかや人形は、梅集落に比べると現代的なのかな?
by ハッピーハンド
最後におまけとして・・・。
かや人形が作られる様子を映像にまとめてみました。3分30秒過ぎには衝撃映像もあります(笑)。
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