先日八戸市にお邪魔した際に紹介してもらったお店があります。事前に聞いていたのは、「雄艇(ゆうてい)」という店名と、「仙人のお店」であるということ・・・。仙人? いずれにしても、ちょっとアヤシゲな感じを受けたのは事実です。
お店の入口はいたってシンプル。ただ、表示には「仙人の食卓」の文字。中に入ってみると、そこには仙人が・・・ではなく、優しい笑顔のお店の主が厨房に立っておりました。
お店の主、佐藤雄三さんです。そして、このお店は「雄三さんのふね」ということで「雄艇」と名付けたそうです。お店は、カウンター席とテーブル席を合わせ、15、16名くらいの人数が入れる大きさでしょうか、決して大きいお店ではありません。しかし、出される料理や佐藤さんのユニークなキャラクターもあって、常連のお客さんも多いようです。知る人ぞ知るお店、といったところでしょう。
事実、入店当初は我々だけだった客も、しばらくすると・・・
お店はほぼ満員状態。若い方が非常に多かったのが目につきました。
さて、ここの料理がすごいんです。基本的に、天然食材を使った料理が出されるお店なのです。この日も、県南地方や岩手の県北地方で採れた食材がズラリ。クレソンやミズなどの山菜はもちろん、
ヒラタケ、キクラゲなどのキノコ類も、すべて佐藤さん自ら採った食材です。・・・キクラゲの巨大さは圧巻です。写真奥のヒラタケと比べるとその大きさは一目瞭然。
そして、この日もっとも貴重だったのがこの食材。
一見、小さいジャガイモのようにも見えますが、実はこれ、キノコです。松露(しょうろ)と呼ばれるもので、市場にはほとんどでない幻のキノコ、ということです。海岸の砂浜でとれるそうで、青森県内のある場所で採ったそうですが、場所までは教えてくれませんでした(当然ですね)。
いよいよお待ちかねの料理です。
しそで味付けのなされたミズの実です。私、ミズの実を見るのは初めてでしたが、ややぬめりのある実の柔らかい食感と茎の部分のシャキシャキ感、そしてさっぱりとしたしそ味。これ、ほんっとおいしいです。一番最初の料理でしたが、山盛り食べたい気分でした。
さわやかなキュウリおろしがかけられたアミタケ(写真左)、3日間(!)もじっくり煮込んだ煮込みなど、いやいや、おいしくないはずがありません。
そして、生ビールでのどを潤した後に登場した日本酒。
竹筒でギンギンに冷えたものを、これまたギンギンに冷やされた竹のおちょこでいただきます。ちょっとシャーベット状になった日本酒、家でも飲んだことはありましたが、この竹が魔法の筒なんです。飲んだ直後の感想は、とにかく「きれい」。竹がどのように働いているのかわかりませんが、とにかく味が透き通ってきれいなんです。ふだん飲んでいた銘柄の日本酒でしたが、竹筒だけでこんなに変わるとは・・・。これ、絶対に飲み過ぎますよ。
そしていよいよお待ちかねの一品が登場。
薄くスライスした松露。軽く焼いてあると思いますが、ホワイトソースがちょこんと乗っかり、見た目は小さなジャガバターのような感じ。しかし食べてみると・・・!! 弾力のあるシャキシャキ感、と言えばいいのかな? 表現するのが難しいです。決して強い味ではありませんが、噛んでいくうちに、じわーっとうま味が口に広がります。誰もが、これ本当にキノコ? と思うはず。そして、「何と表現したらいいのだろう?」と悩むことでしょう。
このほか、朴歯味噌焼きのカレイや岩のりの茶碗蒸なども美味美味。巨大なキクラゲの、普段食べているキクラゲとの食感の違いに驚き、
ウメソースのかかったミズの料理など、見た目はフレンチかと思える美しい料理を堪能しました。
そして、このお店の最大の目玉。それが佐藤さんのライブでしょう。
佐藤さん、シンガーソングライターでもあるんですね~。おまけに、ダジャレ好き・・・。そのダジャレオンパレートで作ったの歌が、青森県の市町村(地名)の歌です。
来る人誰もが笑顔になり、時間を忘れて楽しむことができるお店です。午後5時過ぎに入店しましたが、気がつくと時計の針は11時半を過ぎていました。飲み過ぎ注意です(笑)。
by ハッピーハンド
ちなみに、市町村の歌のほかに、世界の国名を題材とした世界の歌もあります。ぜひお店で!
<仙人の食卓 雄艇>
八戸市十八日町1-3
0178-47-4568
※佐藤さんは、日中は岩手県の折爪岳山頂の家にも仙人の食卓を開店しています。
ここで味わえるカレーが、これまた絶品ということです。
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