東北新幹線全線開業記念特別展として青森県立郷土館で開催されている「青森のわざ」。陶芸、染織、木竹工、人形・玩具、漆芸、金工、ガラスの7分野、58名の作家さんによる約150点の作品を展示する特別展です。
展示室に入って一番最初のコーナーは金工。
田澤幸三さんのりんご剪定鋏は、青森のりんご農業に欠かせない大事な道具。
庭師剪定ばさみ刈り込み用は、なんと18.5センチ。
津軽の農家の方たちや庭師の片腕となって使われ続けて辿りついた用の美なんでしょうね♪
また、代々弘前藩お抱えの刀匠家二唐家に生まれ、先月お亡くなりになられた二唐國次さんのナイフタイプ短刃山刀は暗紋という独特の紋様がとってもクール♪
次にご紹介するコーナーは染織。
鎌田光展さんの絵画的な美しさのこぎん刺しや、西野こよさんモダンな南部菱刺しの大きなタペストリーも素敵♪
間山淑子さんのこぎん刺しの器「モン・サン・ミッシェル」もアートですね♪
※展示室内は撮影が禁じられていますが、許可を得て撮影しました。
澤頭ユミ子さんの南部裂織「青い森の風」も、今の季節の青森の森の空気をイメージさせる作品ですね。
漆芸のコーナーには、今にもどこかにテクテクと歩みだしそうな久保猶司さんの作品「足のある箱」。
箱の部分に二種類の技法が使われていますが、下の黄色がかった部分は、青森の山々のようにも見えます。
人形玩具のコーナーでワタシを虜にしたのは、カエルが楽しげに演奏する様子を題材にした上山耕平さんのキャンドルスタンド「ジャズバンド」。
ドラムがフキの葉だったり、ウッドベースが葉っぱだったり♪
是非、オタマジャクシや雨の形をした部分からこぼれる灯りを見てみたい♪
山口笙舟さんの112.5×91.0センチという巨大な馬の彫刻「かえりみち」。
この楠から彫られた大きな馬は、躍動感と力強さが伝わってきます。
木竹工のコーナーでは、工藤ぬいさんの竹細工「想い」がとにかく素敵。
根曲り竹の皮を用いた古くからの技法ということですが、網目が雪の結晶のように美しいんです。
その他にも、葡萄やアケビの蔓を使った花器など、床の間にチョンって置いたら、お洒落な空間になるであろう作品がズラリ♪
そして、最後に見たコーナーはガラス。
北洋硝子の寺田博さんの「雪あかり」は、ロマンチックで上品♪
ハートのような模様も入ってます♪
今回、展示されている作品は、現在ご活躍中の作家さんたちの作品ばかり。
伝統の技、そして伝統の技を基盤にして現代的センスを吹き込んだ今の生活に合うアイテムにアレンジさせたもの、モダンアート的作品に昇華させたものなどなど、もっともっとご紹介したい作品がたくさん、見所満載の展示フロア♪
これだけの作家さんの作品が、このように一堂に集められ紹介されるのは、初の試みなんですって!!
こういう伝統工芸作品は、もともと冬の農閑期の手仕事だったものが多いので、この時期にぴったり♪
新幹線全線開業の冬だからこそ、見ておきたい展覧会です。
またしても閉館直前までアート鑑賞してしまったワタシ(笑)。
郷土館からの帰り道、新町通りをテクテク歩いていたら、綺麗に浮かび上がる作品が、アートボードに設置されていました。
青森市内中学校の美術部の作品だそうです。
思いがけず見つけたアート作品、なんだか得した気分♪
by Kuu
《「青森のわざ」伝統工芸のいま》
会期:2010.12.11(土)-2011.2.20(日) 9:00-17:00
※休館日は12/29-1/3及び1/31
会場:青森県立郷土館(青森市本町2-8-14 017-777-1585)
関連講座(土曜セミナー 各回13時30分~15時)
・12/18(土)三上強二「青森県の伝統工芸」
・12/25(土)成田 敏「職人の技~青森県諸職調査より~」
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。