現在、『新収蔵2010』を開催中の青森県立郷土館。
美術作品以外は撮影OK!!(フラッシュはNG)ということで、カメラぶらさげて出掛けてきました♪
展示スペースに入るなり、約240点の中でひときわ存在感を呈しているのが、野沢如洋の『春の海・秋の海図屏風』と『東西蝦夷山川地理取調図』。

安政6年(1859年)の地図はビック!!
お願いすると上から見せてもらえます。
北海道が大部分ですが、津軽海峡と陸奥湾、下北半島と津軽半島が含まれています。

見応えがあるのは、佐々木直亮さん(1921-2007)による昭和30年代の写真!!
弘前大学医学部教授として衛生学を専門に研究されていた佐々木さんは、庶民の暮らしの実態を知るため、当時の日常生活に関わる写真を撮り続けていました。
旅館の窓からお山参詣を見物する大勢の人たち(旧岩木町百沢)であったり、

雪道の中、車がすれ違おうとしているボンネットタイプのバス(黒石市内)であったり、

どれもこれも写真の中から声が聞こえてきそうです。
そして、「今日は楽しい雛祭り♪」ということで、頭の中に流れていたBGMを『三丁目の夕日』から『うれしい雛祭り』に切り替え、みなさまにご紹介したいのが『享保雛』♪

常設展示室3階にある昔のくらし道具や懐かしいオモチャに触れることができる体験ルーム「ワクワク体験ルーム」に季節展示されています(3月14日まで)。
3月3日に雛人形を飾る習俗は、もともと祓いの形代である人形(ひとがた)を川や海に流した行事が始まりだそうで、公家や武家の慣習を経て、江戸時代になってから民間に普及したもの。
享保雛は、17世紀の寛永雛がゴージャスに進化したもので、面長で切れ長の目に特徴がある享保年間(1716-1735)に流行した雛人形。
当時、町人にも普及し、あまりの豪華さに、幕府の奢侈禁止令取締りの対象にもなったそうですよ。
確かに、屏風絵の前に納まるお内裏様とお雛様、


五人囃子、

お道具の数々・・・と、今でも華があります♪ うっとり♪
それに近代以降、追加されていった各種人形から成立しているそうで、よ~~く見ると、立雛だったり、

押し雛だったり、日本人形だったり、お人形のためのお布団だったり、色々飾られています。

コチラの享保雛は、弘前市仲町地区に伝わるお宝。
仲町地区は、中下級の弘前藩士家が集住してきた地域で、大正初期まで「お雛拝見、お菓子頂戴」と言って子供たちが家々を回ってお菓子をもらって歩く風俗があったんですって。
イメージは、日本版のハロウィンってことでしょうか。
お菓子はやっぱり大阪屋!?
この地域にお住まいの方の話によると、この時期になるとご婦人達が集って家々を回り、雛人形を眺めながら、お茶しておしゃべりしているそうです。男子には理解不能かもしれませんが、いくつになっても女子会はトークがはずみますからね♪
そんなわけで、女の子が嫁がれた後でも、ご婦人方のために飾られているお宅もあるそうですよ(笑)。
コチラは、所蔵されているお宅の方が伝統を守ったかたちで飾られたそうなんですが、この時代はお内裏様とお雛様が今と逆で、しかも三人官女がいらっしゃらなかったんですね。

このような雛人形を飾るのは、城下町などの都市特有の行事だったそうで、近代までの農山漁村では雛人形は飾らず、サガサニチといって、餅を作ったり野外遊びをする日だったそうです。
例えば、青森県の南部地方ではボタ餅を作って外遊びをし、下北地方では甘酒節句といって菱形の餅を作り、津軽地方では重箱を持って山へ花見に行ったり磯辺に遊びに行ったんですって。
コチラを所蔵されている方のお宅では、この雛人形の周りに浮世絵を飾るそうです。なんとゴージャス♪
その他にも、八戸市内では『はちのへ雛めぐり』、弘前市立博物館では『おひなさま展』を開催中です♪
またまた雪がちらつきだした青森ですが、豪華で優美で華麗な(笑)雛人形を見て、春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
by Kuu
《企画展「新収蔵2010」》
会期:2011.2.26(土)-2011.4.10(日) 9:00-17:00
会場:青森県立郷土館1階大ホール
《季節展示「享保雛」》
会期:2011.2.15(火)-2011.3.14(月) 9:00-17:00
会場:青森県立郷土館3階「わくわく体験ルーム」
料金:一般310円、高校・大学150円
場所:青森市本町2-8-14 017-777-1585