奈良美智さんの「あおもり犬」やシャガールの「アレコ」でおなじみの青森県立美術館。
7月13日、記念すべき満5歳の誕生日を迎えます。パチパチパチ・・・。
2011年に入り、開館5周年を記念した企画が展開されてきましたが、
明日7月9日からいよいよメインイベントの登場です。
「光を描く印象派展」が開幕です!!
いきなりルノワールの登場ですが、
ルノワールのほかにもゴッホ、マネ、モネなど、絵画をよく知っている人はもちろん、
私のようによく知らない人でも知っている世界的超有名画家の作品がやってきたのです。
この展覧会、単なる印象派の作品を展示しているものではありません。
展覧会のサブタイトルは「美術館が解いた謎」。
果たして謎とは? ・・・非常にそそられる言葉ですねぇ。
展示作品の多くを収蔵しているのは、ドイツのヴァルラフ・リヒャルツ美術館です。
この美術館が、最新の技術を駆使し、4年の歳月をかけて隠された様々な発見をしました。
まさにそれが美術館が解いた印象派誕生の謎です。
(ギュスターヴ・カイユボット「セーヌ河畔の洗濯物」)
作品はおよそ70点。
ひとつひとつの作品には「謎」に関する解説があり、それがとても興味深いんです。
この作品のように、小さな液晶パネルを使った解説もあり、
展覧会に足を運ぶ機会があっても、普段はすーっと流して見るような私ですが、
この日は、ひとつひとつの解説に「へぇ~」、「ほ~」と感心させられつつ、
まったく時間を忘れて見入ってしまいました。
例えば、下の2つ写真を見比べてください。
同じモチーフなのに、受ける印象はまったく違いますよね。
上は、ポール・シニャックの「サン=トロペ、静寂」という作品で、
下は、調査結果からわかったこの作品の当初の姿を再現したものです。
ええっ、何でこんなに違うの!? ですよね~。
これは、作品が地塗りしていない木の板に直接描かれていて、
塗り残した板地の色が経年変化した、ということなんです。
・・・他の作品にも同じようなケースがあるとしたら、
今見ている作品は、ひょっとしたら画家が表現したかったものとは違う!?
なぁんてことがあるのだろうか・・・。う~む、とても気になって気になって・・・。
絵画は、壁に掛けて展示されるのが普通だと思っていましたが、
テオ・ファン・レイセルベルヘの「グリ=ネ岬」という作品は違いました。
なぜなら、この作品は後ろにも注目! だからです。
作品の裏面なんて・・・と思いますが、あれっ、人物の姿が・・・。
それを、赤外線で写したものが上の写真で、なんと肖像画が描かれていたのです。
何らかの理由で描くのやめた絵。それがこの肖像画の正体だったのです。
普段見ることのない絵画の裏に別の絵・・・。
なんだか宝物を見つけたような感じですよね。
(ゴッホの「グリシーの橋」と並べられた赤外線調査結果の絵には謎の線が・・・)
赤外線撮影で現れた放射状の線や、完成作品とまったく異なる下絵の謎、
作品中央下の一部分だけが奇妙に塗られていない謎、
紫外線調査で見つかった加筆の謎、謎、謎・・・。
絵画好きの方はもちろん、私のように「印象派って何?」という人も、
実に興味深く鑑賞できる展覧会がこの「光を描く印象派展」だと思います。
印象派誕生の謎に迫ったこの展覧会は、
ヨーロッパで約60万人もの方が観覧に訪れたそうで、
日本では、ここ青森だけの開催という貴重な機会です。
青い森に囲まれた静かな場所でゆっくりと芸術鑑賞をたしなむ・・・。
う~ん、なんてセレブな感じ。
ちなみに、私の部屋では、ルノワールのルグラン嬢が待っています(笑)。
byハッピーハンド
がんばろう東北! 青森から東北元気届けます。
※このブログに掲載した写真は、許可を得て撮影したものです。
<光を描く印象派展 ~美術館が解いた謎~>
期間:平成23年7月9日~10月10日
開館時間:9月30日まで9:00~18:00(入場は17:30まで)
10月1日から9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日:7月25日、8月22日、9月12日、9月26日
観覧券:一般1,500円/高大生800円/小中生無料
(7月8日までなら前売り料金で購入できます。)
<青森県立美術館>
青森市安田近野185
017-783-3000
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