「津軽塗」とは、青森ひばの素地に漆液を四十数回も重ねた後に研磨を施すことで仕上げた漆器で、300年以上も前から津軽地方で作られています。津軽塗の製品でよく目にするのは、箸やお椀、茶器などですが、この写真は、弘前市の津軽塗職人の舘山次郎氏がアコースティックギターを津軽塗仕様にバージョンアップさせたものです。
このギターを所有するのは、深浦町出身の近藤金吾さん。近藤さんは、ロックバンド「タイムスリップ」のボーカルで、1996年にトイズファクトリーから「針にかかった魚が自由を求めるように」でメジャーデビュー。バンド活動に加えて、「RAG FAIR」(HANA)をはじめとしたアーティストへの楽曲提供やプロデュース、原田知世ほか12名の女性のフォトエッセイ集「ホホエムチカラ」の出版、さらには様々な音楽イベントを企画するなどマルチな才能で幅広く活躍しています。
夢に向かってまっすぐ突き進んできた近藤さんですが、だんだんと故郷である深浦町を意識するようになり、「これまで、自分のやりたい音楽をやるために突き進んできたが、これからは、音楽活動を通じて、ふるさとのためになることをしたい」と話していました。
2009年から開催している、泉谷しげる、沢田知可子、佐藤竹善などの出演による「深浦ミュージックフェスティバル」の企画(もちろん本人も出演)をはじめ、深浦町の特産品である「つるつるわかめ」のCMソング作詞作曲。さらには、ふるさとをテーマにした「深浦慕情」「白神旅情」なども発表しています。
見る角度によって様々な表情を見せてくれる津軽塗のギターからは、他のギターにはないオーラを感じました。近藤さんに「ギターを津軽塗仕様にしたことで音に変化は?」と聞いたところ、「津軽っぽい音になった?」と笑いながら話していました。少しだけ、ギターを聞かせてもらいましたが、とても暖かみがあって、優しい音のような気がしました。
6月9日(土)には、青森県内では初のソロライブ開催が決定し、オリジナル曲から自分が音楽に興味を持つきっかけになった思い出の曲など、自分の音楽のルーツを弾き語りで紹介する予定です。もちろん、当日は津軽塗のギターも持参するそうです。
音楽を通じて青森の魅力を全国に発信しようと頑張っている近藤金吾さんを、これからも応援していきたいです。
近藤金吾弾き語りライブ ~MY ROOTS~
日 時:2012年6月9日(土) 開場/17:30 開演/18:30
場 所:青森Cafe Bar Atom
問合せ先:青森Cafe Bar Atom 017-775-1330
by さっちゃん
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