富山からJR高山線で5駅の越中八尾で、
毎年、9月1日から3日まで開催される「おわら風の盆」。
三日間で20万人が訪れる憧れの祭りに行ってきました。
八尾には、11の町内毎に保存会があり、
それぞれが自らの町内で「町流し」と呼ばれる流し踊りを行います。
ねぶたのように、すべての保存会による合同運行はありませんので、
町流しは、各町内で待ち構えて見なければなりません。
ご覧のように、八尾の町並みは風情がありますが、道幅は広くなく、
桟敷はもちろん観覧席もないので、見る場所の確保が大変です。
今回は、縁あって、11町の一つで日本の道百選に指定されている
諏訪町の通り沿いのお宅におじゃまして見ることができました。
このお宅のご主人は三味線のお師匠さんで、保存会のリーダー的な方なので、
お宅の前に町流しが止まって、しかもこちら向きで踊ってくれました。
越中おわら節の旋律、艶やかな女踊りと勇壮な男踊り、哀愁漂う胡弓の調べ。
贅沢です。
町流しは、夜中遅くまで、何度も行われます。町流しが来るまでの間は、
お宅の居間で、富山名産のかまぼこを肴にお酒を飲みます。
帰り際に八尾の銘菓「玉天」(林盛堂本店)もいただきました。
メレンゲを卵黄のコーティングで焼き上げた和スィーツです。
おいしかったので、「玉天」の説明書きを見ると、
薄葉紙の図案は、棟方志功の手によるとあります。
棟方志功は、昭和20年に、疎開のため富山県福光町(現南砺市)に移住し、
昭和29年まで在住しました。昭和21年に福光町栄町に建てた自宅は、
「鯉雨画斎(りうがさい)」と自ら名付けましたが、
いつしか訪れる人から「愛染苑」と称ばれるようになり、
その名は谷崎潤一郎の筆でも記されています。
今は、棟方志功記念館「愛染苑」となり、
滞在中に制作された作品が展示されています。
http://fukumitsu-art.city.nanto.toyama.jp/aizenen/aizenen.html
棟方志功は、「玉天」とともに「八尾和紙」を
版画にいい紙として気に入ったようで、
八尾を「紙と玉天の町」と称したそうです。
旅先のふとしたことから、青森県出身の偉大な画伯と八尾の縁を
知ることができました。
「じゃわめぐ」が有名な棟方志功ですが、
おわら風の盆を見て、どんな言葉を発したのか興味が湧きます。
by 頭脳パン
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