「孤独は男の特権である」ハードボイルド小説などで見かけるフレーズですが、男女にかかわらず、時には家庭や職場などとは異なる空間で一人の時間を楽しみたいものです。
そして自分だけのとっておきの隠れ家を持っている方も少なくはないことでしょう。
「のみ屋っこ とくとく」もそんな隠れ家的居酒屋で、一人の方でも初めての方でも気軽に入れ、大間マグロを味わえるのが特徴です。

「サラリーマンのために安くておいしいものを食べられる居酒屋をやりたい」という思いで、店主の坂さんが53歳の時に脱サラし、奥さんと二人三脚で店を始めたのは13年前のこと。
大手電話会社に勤務していたことから、サラリーマンの悲喜こもごもやお財布事情にも精通し、長年連れ添った幼馴染の奥さんとの掛け合いで温かく迎えてくれるのが何よりの魅力です。
また、青森市大間町人会長を務める坂さんは、大間や下北のPRにも力になりたいと、食材の魚も下北産を多く使うようにしているそうです。
脱サラ親父には見えない包丁さばきで作る料理を肴に、「田酒」、「亀吉」、「喜久泉」といった県産酒をはじめ、下北の地酒「関の井」でおいしく夜が更けます。

お薦めは「とくとくセット」(2,000円)。旬の食材を使った前菜、下北の郷土料理味噌貝焼き、大間マグロを含む刺身盛りの3品に生ビールグラス2杯付で、正に得々です。
県外からの出張ビジネスマンには、晩酌セットとして人気が高いそうです。

大間マグロももちろんお薦めですが、刺身のほか、運が良ければ、珍味「もつ煮込み」「胃袋の酢味噌和え」「皮のからしポン酢あえ」などの裏メニューも味わえます。
坂さんによると、子供の頃、マグロは刺身よりも胃袋や肝をよく食べていたそうで、いろいろな味が楽しめるそうです。
この日は、たまたま「ハツ」があるということで焼いてもらいましたが、時速90キロメートル近いスピードで泳ぎ続けるマグロの心臓だけに、コリコリ感がなんとも言えません。

カウンターと小上がりで16席の小じんまりしたお店ですが、店内に流れるジャズに耳を傾けながら秋の夜長を過ごすことができるお気に入りの空間です。

PS
私の場合は、たまにはカウンターで一人酒と思って暖簾をくぐるものの、先輩諸兄やらなじみの面々との遭遇により、差しつ差されつでついつい深酒をしてしまい、自責の朝を迎えてしまうのが常です。
時折、大間出身の噺家三遊亭大楽さんによる落語会が開催されることがあります。体の大きさから5代目円楽師匠が大楽と名付けたほどで、その立派な体格に店内所狭しの落語会は笑いで溢れます。
by あぷよ
青森市堤町2-23-29
017-735-1919
営業時間17:30~24:00
定休日:日曜日、祝日