今年は都内でも大雪が降って交通がマヒしたことがありましたが、雪が降る地域では、除雪は日常生活を円滑に送るために重要な仕事です。
実は、全国の県庁所在地の中で年間降雪量が最も多いのは青森市。気象庁の観測によると、1981年から2010年の青森市の年間降雪量平均は669cmで、北海道札幌市の597cmよりも多かったのです。
そして、青森市の山間部にある青森空港はさらに雪が多く、平成23年度の降雪量は1130cmもありました。しかし、これほど降雪量が多いのに青森空港は風雪による欠航が非常に少なく、平成23年度はわずか26便でした。航空機の運航を支える日本一の除雪技術をもつのが、青森空港です。
【日本一の理由 スピード】
青森空港で航空機の離着陸のために除雪が必要な面積は、約55万㎡、東京ドーム12個分ですが、この面積を60台の除雪機械を駆使して、わずか40分で除雪します。そのスピードは、東京ドームを約3分20秒で除雪するというものです。
滑走路の除雪の場合、雁の群れのように斜めに隊列を組んだ除雪機械が、時速25㎞ほどで走行しながら除雪します。
市内の道路除雪と比べても、驚くほどのスピードで、3000mの滑走路をわずか16分程度で除雪してしまいます。
降雪量が多く、湿った雪質を考えると、このスピードは驚異的と言えます。
【日本一の理由 ベストのタイミング】
空港の運用時間内のいつ除雪を行うか、という決まりはありませんが、機長から管制を通じて依頼があって除雪する場合と、空港側が降雪状況を見て除雪する場合があります。
青森空港では、滑走路、誘導路、エプロンの積雪が3㎝以上であれば除雪することにしています。
また、離着陸に必要なプレーキングアクション(路面摩擦係数の程度)を満たさない場合は、除雪が必要です。
1回の除雪に約40分かかりますが、航空機の運航にできるだけ影響を与えないよう、離着陸のタイミングはもちろん、雪の降り方や気温などを見極め、タイミングをはかって除雪します。平成23年度の除雪回数は203回。1日に9回除雪した日もあったそうです。
【日本一の理由 専用の除雪機械】
青森空港の除雪機械は、空港除雪専用の機械と、除雪を請け負う企業体所有のブルドーザなど合わせて60台を使用します。空港除雪専用機械は特注品です。巨大で、1台数千万円もする高価なものです。
◆スノープラウ(横の人と比べると巨大さがわかります)
◆スノースイーパー(スノープラウなどで雪を寄せた後をブラシできれいにします)
【日本一の理由 繊細な機器周辺は人力で除雪】
滑走路や誘導路上には、各種センサーや誘導塔などの灯火設備が550箇所も設置されています。ここは機械除雪ができないので、人力で除雪します。一晩で50㎝以上の降雪があることも珍しくありませんが、設備を傷つけないよう注意しながら手掘りし、人海戦術での除雪となります。
青森空港の除雪は、多くの人たちの熟練の技術で支えられています。
降雪時に青森空港に行く機会があったら、是非展望デッキで除雪の様子を見てください。
普段目にする除雪とは違う、プロのスゴ技を目にすることができますよ。
by Hana
◆青森空港管理事務所
青森市大谷字小谷1-5
電話017-739-2121
※空港内は立ち入りが制限されている場所があります。除雪の見学に夢中になり過ぎないよう気をつけましょう。
※降雪状況によっては、除雪しない日もあります。
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