北欧の工芸品のような白くて美しい木肌や特有の癒される香り、さらには使うほどに飴色の魅力的な質感が増していく「青森ひば」の篭(かご)を作っているのは、むつ市大畑在住の柴田円治さん80歳です。
柴田さんは、高校を卒業してから約40年間にわたって青森営林局大畑営林署に勤務し、大正末期から行われてきた「天然青森ひばの調査研究」のための試験林の巡視業務に携わってきました。平成5年に定年退職した後も、長年の功績が認められ、丸太の樹種、太さ、長さ等を調査することで等級を確定する丸太の検知業務に従事したり、「森の名手」として活躍してきました。
「青森ひば」の特性を知り尽くした柴田さんが、今から20年前に「製材した際に出る端材を何かに利用できないか?」と考え、試行錯誤を繰り返して誕生したのが、これまで誰も挑戦したことのない「青森ひば」の篭でした。
篭づくりのノウハウは、「日本の篭の故郷」と言われ、その業が門外不出として大切に守られてきた岩手県一戸町の鳥越出身の父親の手業を見て覚えていたそうです。
柴田さんの工房で篭の作り方を見せてもらいました。製材所で製材した板を、柴田さんが鉋(かんな)を使って1本ずつテープ状にし、編み上げていくのには本当に驚きでした。
これまでも、「青森ひば」の機能性を活かした「まな板」や「アロマオイル」、「シャンプー」などの加工品は販売されてきましたが、「青森ひば」をテープ状にすることで新たな可能性を見いだした柴田さんの功績が認められ、全国観光土産品連盟主催の「第48回全国推奨観光土産品審査会」では、最高賞の経済産業大臣賞を受賞しました。
青森県を代表する「青森ひば」でオンリーワンの民芸品を作り上げ、しかも人柄もとっても素敵な柴田さんは、下北の貴重な宝だと思いました。
byさっちゃん
「青森ひば」まめ知識
「青森ひば」は、「秋田すぎ」、「木曽ひのき」とともに日本3大美林の一つと称され、国内の8割が青森県に蓄積しています。比較的暗い場所でも生育が可能で、厳寒期に花を咲かせ、200~300年の長い歳月をかけてゆっくりと大木に成長します。材としては、年輪が緻密で、湿気や腐れに強く、極めて高い耐久性を持っており、さらには、特有の天然成分「ヒノキチオール」を含む「ヒバ油」は、防カビ・防腐・防虫・防臭効果や鎮静効果にも優れていることで注目されています。
<柴田さんの作品の販売先>
☆まさかりプラザショッピングプロムナード
むつ市柳町1- 10-25 TEL 0175-22-0909
☆わいどの木
風間浦村大字易国間字大川目6-7 TEL0175-35-2147
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