秋晴れの休日、浅虫の「浅めし食堂」に行ってきました。
浅めし食堂は、NPO法人が運営するコミュニティカフェですが、今年3月の移転オープン前から力を入れているのが「食育体験」です。様々なプログラムが年数回実施されており、今回は浅虫銘菓「くじら餅」作り。しかも会場は古民家「石木邸」です。
石木邸は、浅虫地域で最も古い民家で築100年ほど。浅虫源泉・温泉たまご場の目の前にあります。
会場に入ると小豆を煮るよい香りがしています。直営の農園で育てた小豆だそうです。
身支度を整えたら、さっそく材料を計量して、くじら餅づくりスタートです。
ものすごーくざっくりと作り方を紹介しますと、小豆を煮てこしあんを作り、これにもち粉などを塗り込み、堅さを調整したら、牛乳パックで作った型に流して蒸すというものです(←ざっくりしすぎですね)。
浅虫のくじら餅なのでくるみのトッピングはお忘れなく。
くじら餅は、北前船由来の和菓子です。昔は浅虫地区の一般家庭でも作られていたようですが、現在は数軒あるくじら餅店がそれぞれ秘伝のレシピで製造しています。今回のレシピは、浅めし食堂の三国店長さんが試行錯誤の末に開発したオリジナルで、作った翌日でも堅くならないのが特徴とのこと。
今回の体験では、小さな子どもさんも、昔は自分で餅を作っていたとおっしゃるおばあちゃんも、楽しみながら作っていました。牛乳パックを型に使うと、餅がくっつかないし、後片付けも簡単という、「主婦シェフ」ならではの工夫も随所にみられます。これなら、自宅でも簡単にできそうです。
くじら餅を蒸している間、古民家の向かいにある「浅虫源泉・温泉たまご場」で温泉卵を作ることに。
卵に自分のマークを描いて、温泉卵場へ向かうと、丁度、浅虫温泉事業組合の方が温泉の管理のためにいらっしゃいました。浅虫地区は、一般家庭も旅館・ホテルも共同で源泉を利用しているので、日々の管理が重要なのだそうです。
温泉のお話をうかがうついでに、温泉卵のおいしい食べ方をうかがったところ、
「きちんと時間を測ってゆでて、出来たてをその場で食べるのが一番おいしいよ」とのこと。
というのも、温泉中の塩分は白身にだけしみ込むので、冷めてしまうと塩分を感じにくくなるし、
時間とともに熱が卵全体に回ってしまい、ゆで加減が変わってしまうからだそうです。
この温泉卵場には足湯もあるので、そこで休むも良し、古民家の写真を撮るも良しで、待つこと15分。
ゆで時間をきっちり測った卵は、「白身から食べると温泉のほのかな塩味を感じられる」というので、まずは白身を一口。
確かに、今日の温泉卵は一味違います! 白身の塩味と、黄身のとろーり感がベストマッチ。
「途中で味を変えたくなったら、納豆についてくるタレを4~5滴加えてみて」と言われるままにタレをかけると、これまた美味!!! 納豆のタレは出汁と塩分が濃縮されているので、卵に合うのだそうです。
くじら餅の蒸しあがりまで、会場の古民家を見学させていただきました。
青森市は、豪雪地帯のため風雪害による建物の損傷が激しく、また、戦争中の空襲で古い建物はほとんど消失してしまったと言われています。歴史ある温泉街の浅虫地域でも、古民家は珍しいようです。
石木邸は、鰊御殿を移築したもので、地域のお医者様のご自宅でした。秋田県などで良く見られる「内蔵」があるため、豪雪や地震にも耐えられたのではないかと言われています。
内部には、曲線が美しい手すりのある階段や、紅葉と鹿、クジャクなど見事な細工で彩られた欄間、黒柿という珍しい材が使用されている床の間など見どころは多いのですが、建具に使用されているガラスが、ブドウの葉や菊など植物のモチーフで、とても素敵です。
木と土の温もりを感じられる古民家にいるだけで、のんびり、ゆったりとした気持ちになってきます。
さて、くじら餅の出来栄えはどうでしょうか?
しっかり冷ましてから切り分けると、市販のくじら餅よりも色が濃く、甘さ控えめなのに小豆の味が深くて、とてもやわらかく、クルミもよいアクセントになっていました。満足のいく出来栄えでした。
浅めし食堂では、「もち小麦」を使ったレシピや、いきいき農園の大豆で作る手前味噌などの体験も行われています。(体験の日程等は、Facebookをご覧になるか、お問い合わせください。)
明日から10月、いよいよ収穫の秋です。青森のおいしい食材を使った楽しいお料理に、挑戦してみませんか。
by Hana
◆浅めし食堂
住所 青森市浅虫字蛍谷65-34
TEL 017-752-3322
営業時間11:00~17:00
ランチタイムは11:00~13:30
浅めし食堂ストンキ店Facebook
https://www.facebook.com/asameshi
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。