天高く馬肥ゆる秋。
秋の実りの収穫の時期を迎えた今月22日。
良馬の産地としても知られている七戸町で、現存する最古の「南部曲屋育成厩舎」が3年に亘る修復を終え公開されました。
七戸町は古くから人と馬との生活が根付いている地域で、町民の馬への愛着心が強く、「小絵馬」や「南部駒踊り」など馬との深い関わりを示すものが伝承されています。
他にも毎年春と秋の2回行われる「馬力大会」は七戸町を代表するイベントとして定着して、人馬一体となった大迫力のレースは多くの観衆を魅了しているところです。
また、七戸産の馬は、古くは平安時代の「宇治川の先陣争い」や源平合戦の戦いの一つ「一ノ谷の合戦」でも活躍したとも言われています。
そしてその伝統は近代にも受け継がれ、このたび公開された南部曲屋育成厩舎は明治45年に建築された建物で、厩舎では軽種馬(競走馬)の育成をしていたそうです。
厩舎からは多くの優駿が輩出され、1949年にG1(競馬の最高格付けの競争)の皐月賞と菊花賞を優勝したほか、生涯10度のレコード勝ちをした「トサミドリ」や、1957年には初のダービー馬となる「ヒカルメイジ」を輩出しました。
ところでみなさん。
この「ヒカルメイジ」の銅像が普段よく利用される場所にあるのをご存知ですか?
「ヒカルメイジ」だとはわからなくても、馬の銅像があるのはご存知の方も多いと思います。
そうです!
道の駅しちのへの公衆トイレの前に2頭並んで立っているうちの右側が「ヒカルメイジ」なんです(写真手前)。
左側は同じく七戸町の牧場の生産馬、1962年にダービーを制したフエアーウインです。
さすがはダービー馬。堂々と立っていますね!
話を南部曲屋に戻しますが、曲屋とは人の住む母屋と馬のいる厩(うまや)が「くの字」につながっていて、人馬が一つ屋根の下で暮らしていた青森県南部や岩手県の旧南部藩地域独特の建築様式のことです。
曲屋は馬の管理面で多くの利点があったと考えられていますが、なにより馬に対する深い愛情が曲屋のベースになったと言われています。
家族全員で常に馬の管理に気を配ろうとした意識の裏には、「常に馬を見ていたい」「馬を見ているのが好きだ」という思いがあったのではないでしょうか。
厩舎では現在も馬が飼育されていて、敷地内で見ることができます。
馬の写真を何枚か撮っていると次第にその透き通った目に吸い込まれ、気が付くと馬に話しかけながら何十枚も写真を撮っていました。
みなさんもだんだん吸い込まれていきませんか?
by きむにぃ
<南部曲屋育成厩舎>
住 所 七戸町字膝森14-1(旧盛田牧場内)
※手作りジェラート店「NAMIKI」近く
問合せ先 080 5745 5031(登録有形文化財 曲家KANEKO)
時 間 10月~3月 10:00~17:00(4月~9月 10:00~18:00。年中無休)
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