造園業が盛んな平川市尾上地区、歴史的な街並みが残る黒石市、弘前市。
ここ津軽には、庭師の中からたった一人にだけ、
相伝授受で伝えられることから、津軽地方以外にはほとんど見られず、
独自に発展を遂げた津軽特有の流派「大石武学流庭園」があります。
庭園の数は、10箇所・・・どころではなく、なんと400箇所以上!
一般の個人のお宅にも数多く築庭されています。
そもそも、津軽で庭づくりが始まったのは、
津軽四代藩主・津軽信政の元禄時代の頃といわれています。
その特徴は、
まずダイナミックに配されている巨石。
庭の随所に2m以上の巨石を組んでいる庭園もあります。
普通は人力ではなく、牛や馬などで運搬するところ、
大石武学流庭園では、人力で2年(!)をかけて山から運ばれてきたものもあるとか。
なぜこんなに大きい石を、しかも人力で運ぶ必要があったのでしょう?
それは、地元の商家が小作人たちに日銭を稼がせるために、
わざと運ぶのに多くの人手と歳月を要する大きな石を使ったのだといわれています。
冬の小作人の生活の糧だったんですね。
そして、津軽燈籠とも呼ばれる「野夜燈(やどう)」。
一般的な日本庭園は、この真ん中の月形の穴を横に向け、
そこに差し込む繊細な月の光を横から眺めて楽しむですが、
野夜燈は月を正面に向け、月明かりがダイレクトに真正面に差し込みます。
このダイナミックさ、津軽の気質につながる気がするのは私だけ?
もちろん、借景は岩木山が多く、
植栽されている樹木は、雪国・津軽らしく針葉樹です。
この津軽ならではの庭園を、歴史的な建造物の中から鑑賞するのもオツです。
平川市の盛美園では、日本唯一の和洋折衷様式の建物の中で、
庭園を眺めながら抹茶や台湾茶と和菓子「清藤の庭こ」を楽しむことも可能。
盛美園隣の清藤氏書院庭園は、240年の歴史のある茅葺きの家屋が
とっても雰囲気があります。
黒石市の鳴海酒造店は、庭園を望む有形文化財指定の家屋内に
地酒の試飲コーナーがあり、酒蔵見学も可能です。
もう冬が近づいていますが、雪囲いの庭園の表情も見てみたいです。
この大石武学流庭園、個人のお宅にも多いので、まだ数え切れていないとか。
津軽のみなさん、あなたのお宅の庭も、もしかして?
by o-rin
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