青森ねぶた祭りは真夏の祭りですが、祭りの時期以外は、ねぶた師さん達は何をしているのでしょう?
大型ねぶたの制作者ねぶた師は、ほぼ一年かけてあの巨大なねぶたを作りあげるのですが、
今の時期は来年のねぶたに向けて、構想を練ったり、早い方は下絵を描き始める時期だそうです。
そんな中、若手ねぶた師さんの新しい活動拠点ができたと聞き、行ってきました。
名前は「nebutaya」。
WEBで検索してもなかなか出てきません。オープンしたてですから。
場所は、ねぶたの家ワラッセの近くの元倉庫の一角です。
中に入ると、ありますあります、ねぶたの面が。本物の大型ねぶたの面が飾られています。
そして、クリアファイルなどのグッズも販売されています。私が好きな龍もいます。かっこいいー。
ここで活動しているのは、若手ねぶた師の北村春一さん。
「今、どんな作業をしているのですか?」とお聞きしたところ、「青森凧の凧絵を描いています」とおっしゃいます。
ん?
ねぶた師なのに凧絵ですか?
それに、青森凧って、津軽凧のこと?
実は、北村さんをはじめとする若手のねぶた師さん達で、青森凧を習っているのだそうです。
青森凧は、元小学校教員の竹花博先生が教えて下さるのですが、弘前方面で作られている津軽凧とは別のものです。
北村さん自身が描いたという凧絵を見せていただきました。
左の津軽凧と、右の青森凧、見比べると確かに違います。
例えば、津軽凧の題材は弘前ねぷたと同じように中国の伝記などが多いようですが、青森凧の題材は、伝統的な青森ねぶたと同じく、武者絵や歌舞伎が多いようです。
また、隈どりの仕方も違います。津軽凧は目の下だけですが、青森凧の隈どりはねぶたと同じように、鼻の下、口の周りまであります。
改めてねぶたの面を凧絵を見比べると、確かに、鼻の下にも隈どりがありますね。まさに歌舞伎の面のようです。
他にもいくつか相違点があるようですが、青森凧は竹花先生以外に描ける方がいなくなってしまったため、北村さん達若手ねぶた師が、青森ねぶたの勉強のためと、青森凧の伝承を兼ねて、竹花先生に習いに行っているそうです。
実は、凧絵を教えてくれた竹花博先生は、私も小学生の時に習った先生でした。
下絵を映した後、墨入れと色づけをする凧絵づくりは、なかなか難しかったことを思い出しました。
特に色の調整が難しくて、頬がものすごいピンク色になってしまった記憶があります。
ねぶた祭りの将来を担う若手のねぶた師達が、失われつつある青森凧の伝統を守ってくれると聞いて、竹花先生も安堵されていることでしょう。
若手ねぶた師による凧絵は、nebutayaで販売されています。また、来年1月1日から5日までは、ねぶたの家ワラッセで若手ねぶた師による青森凧絵展も開催されます。ねぶたのルーツも探れるかもしれない、そんな伝統的な凧絵をじっくり鑑賞してみませんか。 by Hana
■nebutaya(ねぶた屋)
青森市安方1-5-6 YASUKATA GARAGE内
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。