冬の青森といえば、何を思い浮かべますか?
熱々のラーメン、あんこう鍋、じゃっぱ汁・・・食べ物が真っ先に浮かんでしまう私ですが、
スキーなどのウィンタースポーツ、八甲田山の樹氷、寒立馬、日本海の荒波、十和田湖冬物語などなど、
お楽しみはたくさんあります。その中の一つ、津軽鉄道の「ストーブ列車」に乗ってきました。
津軽鉄道は、五所川原市の「津軽五所川原」駅と中泊町の「津軽中里」駅を結ぶ本州最北の民間鉄道で、
冬季にはストーブ列車が運行されています。有名なストーブ列車ですが、案外乗ったことがある県民は少ないのでは?
実は私も今回が初めてです。
津軽五所川原駅で乗車券と「ストーブ列車券」を購入し、列車に乗り込んだらストーブ前の特等席を確保。
寒い日でしたが、火力が強いのでストーブの周りはとても温かく、時折膝が熱いくらいで、
車内販売で購入したスルメを、ストーブで焼いてもらう様子は炎のアトラクションのようです。
車内では、津軽半島アテンダントさんが車窓の景色や沿線の様子などお話をしてくれますし、乗り合わせたお客様との雑談も楽しいものです。
途中の嘉瀬駅の様子から、直前まで地吹雪が吹いていたらしいことがわかります。
地吹雪地帯に入ってきたようで外は真っ白です。隙間から車内に雪が吹き込んでくることもよくあるそうです。
あっという間の20分余りで金木駅に到着すると、アテンダントさんがお見送りしてくれました。
金木に着いたら、まずは「太宰治疎開の家 津島家新座敷」へ。
雪景色の庭が美しいですね。ここでは代表の白川さんが、太宰にまつわるいろいろなお話をしてくれます。
『人間失格』が代表作と言われる太宰ですが、失格どころか人間味あふれる人物だったことがわかり、太宰の本が読んでみたくなってしまいます。
写真奥にある「ここに座ると文章がうまくなる」という太宰の文机の前にも座らせていただきました。効果はあるのでしょうか。
次は、太宰の生家「斜陽館」ですが、冬の斜陽館は・・・寒いです。だだっ広い屋敷は芯から冷えます。
昔もこんなに寒かったのでしょうか。火鉢以外に火の気はあったのでしょうか。
遠方から米を納めに来る農民に対して、地主の津島家は何か温かいもてなしをしたのでしょうか。この豪華で広く、しかし寒々しい屋敷で、太宰はどんな気持ちで過ごしたのでしょうか。新座敷で触発されたのか、厳しい寒さに刺激されたのか、夏の斜陽館では感じられない想いがどんどん湧いてきました。
しかし、斜陽館は寒いです。靴下は二枚はいて行くべきですし、靴下カバーを売っているので、それを購入してもいいでしょう。スタッフが丁寧に説明してくれますので、厳重な防寒対策をしてじっくりお聞きしたいと思います。
すっかり体が冷えたので、津軽三味線会館で三味線の生演奏を聞きながら温まりましたが、寒さを味わったこの日は格別の想いで三味線を聞きました。津軽三味線は冬に聞くべきものなのかもしれませんね。
最後に喫茶店「駅舎」に向かいます。元芦野公園駅だった「駅舎」は、当時使われていた電話機などが置かれてレトロな雰囲気でおいしいコーヒーなどが楽しめます。事前にお願いしておけば、季節限定で販売されている「ストーブ弁当」もここで受け取ることが可能です。(ストーブ弁当は、3日前までに予約が必要です)
また、駅舎の裏口から直接津軽鉄道に乗り込むことができるので便利です。
吹雪の中、列車がやってきました。ここは春には桜のトンネルになる場所ですが、雪の中の列車もかっこいいです。毎日見ている雪なのに、テンションがあがります。
帰りはストーブ列車ではないのですが、五所川原農林高校と青森西高校の生徒さん達が「高校生おもてなし隊」として、金木駅から乗車してきました。
生徒さん達は積極的に話しかけてくれましたし、しとぎ餅の振舞いや校歌の合唱などもあり、にぎやかなうちに津軽五所川原駅に戻ってきました。
ところで、この日初めていただいた「ストーブ弁当」ですが、石炭に見立てた里芋の煮物や津軽漬、若生昆布のおにぎりなど、地域の素材がギッシリで見た目も楽しいお弁当でした。竹の皮で編まれたカゴも素敵です。
すでに何度も訪れている金木と津軽鉄道の旅でしたが、
冬の姿を知ることで、次はどの季節に来ようかと楽しみが広がったプチ旅行でした。
そしてもちろん、帰宅後は熱癇で温まりました。これも冬の楽しみの一つです。
by Hana
■津軽鉄道(ストーブ弁当の予約もこちらへ)
五所川原市字大町39
電話0173-34-2148
■太宰治疎開の家 津島家新座敷
五所川原市金木町朝日山317-9
電話 0173-52-3063
■太宰治記念館 斜陽館
五所川原市金木町朝日山412-1
電話 0173-53-2020
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。