女性が正月の忙しさから解放されて過ごした行事「小正月(旧1月15日)」。
旧暦の小正月だった2月15日、
津軽の伝承料理を守り、若い人たちに伝えて行こうと活動する「津軽あかつきの会」が主催する
「津軽の小正月の集い~伝承料理を食す会」に行ってきました。
今回の開催は3年ぶり。昔ながらの作り方を学ぼうと、多くのマダム達が集まっていました。
会は80代以上の方々が中心に動いており、
農家なので、夏は畑で漬物用の大根栽培などをしています。
この日の献立は、
黒豆ごはん、けの汁、さもだしと菊の一升漬、棒たらの煮付、人参のこあえ、さめなますなど。
汁や煮付のゼンマイ、フキなどは、収穫後に湯がいて塩漬などで保存していたものを使います。
「さもだし」とは、とてもよくダシが出て、津軽の秋には欠かせないキノコ。
秋になると、私の実家(津軽の田舎)でも毎日さもだしの味噌汁で、。
冬場は塩漬をオクラやナメコとあえてトロトロにして食べていたのを思い出しました。
けの汁は、嫁が実家に帰っている間に家族が食べる保存食として大量に作っていました。
大豆を砕いた「ずんだ」を入れる家庭も多く、ホクホクとして食べごたえがあります。
(またまた)私の実家では、今でも乾燥させた大豆を石臼で挽き、けの汁に入れています。
石臼だと香りがたって、粒もちょうど良い潰れ具合で美味しいんです。
そして、さめなますは、鮫の頭を使うそう。
頭だけを買ってきて、ゆでて身をほぐして大根おろしと酢で和えます。
鮫の身だとパサパサしてむっつい(口の中が乾く)そうなのですが、
頭はコラーゲンがいっぱいでプルプル美味しいんです。
だしは、いずれも市販のものは使用せず、煮干と昆布でとります。
どれもしっかりと昔ながらの知恵が反映されていて、素朴で美味しいんです。
あかつきの会が主催する料理教室が毎回すぐに満員になるのも分かります。
ランチを堪能したあとは、「昔っこ」タイム。
80代のおばあちゃまが、小さい頃にお母さんから聞いたという昔話「ビッキとぼた餅」を話してくれました。
独特のゆっくりとした、心のこもった話口調に、何だかほっこりと笑顔になり、聞き入ってしまいました。
そして最後は「思い出し話」タイム。
年配の5人が椅子に座り、昔、自分たちが遊んだもの、オヤツのことなどを話してくれました。
遊びはビタ(めんこ)、あやっこ(お手玉)、あんこ(おはじき)、いちょっこ(?)など。
お金もおもちゃもない中で、あるものを使って朝から晩まで遊び倒したそう。
オヤツは、干し餅、スルメ、おにぎり、そして、昔は数の子が大量にあり、漬けていたものをボリボリオヤツとして食べていたそう。
また、薪ストーブは暖を取るだけではなく煮炊きもできるし省エネだし、
今の暖房よりも万能だと話していました。
(またまた)私の実家も未だに薪ストーブなので、よく分かります。
こうして見ると、私の実家って、昔の生活そのままなんですね。
秋は薪割り、冬は狩猟や納豆づくりにも励んでいるし、
あかつきの会のこの空気感が落ち着くのがよく分かりました。
ぜひ今度は、子供たちにこそ、この優しい食事、おばあちゃんたちの昔話を聞かせたいと思いました。
by o-rin
※あかつきの会では、漬物等の宅配等も行っています。
TEL/FAX. 0172-49-7002
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。