岩木山を中心に、美しい原風景が広がる青森県弘前市の岩木地区。
昔、この地域は「御神域」と呼ばれ、選ばれた者しか近づくことのできない
神聖な場所だったといいます。
こんな場所だからこそ、昔の奉納物も状態がよいまま保存されていて、
以前、ハッピーハンドがご紹介した巨大絵馬もそのひとつ。
私もこの地区は大好きで、ラーメン食べたり温泉に入ったりと
ちょこちょこ訪れているのですが、
そんな中で、大絵馬についてもちょっぴり勉強してきたのでご紹介させてください。
<代々藩主や重臣が奉納した大絵馬の数は日本有数>
そもそも大絵馬は、裕福な商人とはいえ、名もなき人々が奉納したものが多いといいます。
そんな中、津軽藩四代藩主・津軽信政の廟所として建てられた「高照神社」には、
代々津軽藩主やその重臣らによって奉納された大絵馬54枚が、
綺麗な状態のまま保存されています。
その数は日本有数。しかも、いつでもみることができます。
<藩主の性格までもうつしだす>
岩木の大絵馬からは、藩主の想いだけではなく、性格まで分かります。
例えば、見栄っ張りで金遣いの荒かった藩主は派手な虎皮の鞍をつけていたり。
着物の細部まで豪華だったり。
そんな藩主だったからこういう時代だった、という繋がりも分かり、
そんな説明を聞きながら眺めていると、まるで大きな紙芝居をみているようでした。
<大絵馬の形は身分を表す>
岩木の大絵馬は、その形から主従の別が分かります。
藩主は「家形」、重臣は「長方形」。
藩主が奉納した後に、重臣も奉納していて、色も藩主より控えめです。
写真は、最後の津軽藩家老・大道寺繁禎のもの。
実は花籠にもられている花は、春の桜から秋の菊まであり、実際にはありえないもの。
ただ、藩の経営に関わった最後の家老のけじめとして、津軽の地に咲く花々を藩主に捧げたのではないかと考えられています。
<ねぷた絵師との関係>
明治時代、最も多く絵馬を描いている弘前の絵馬屋・美信は、
実はねぷた絵師・竹森節堂の父。絵馬の鮮やかな色あい、
独自の世界を表現する技法が、現在のねぷた絵につながったのかも?
と、少しお話を聞いただけでも、「なるほど~」ともっと大絵馬のことを知りたくなりました。
馬関連でいうと、近くの大石神社には、今でも多くの「馬形」が残っていて、
多くの妊婦さんが人参をお供えに訪れているとか(写真は大失敗してぼやけました)。
雪がとけたら岩木地区、さらにリサーチしたいと思います!
by o-rin
<高照神社>
住所:弘前市高岡字神馬野87
電話:0172-83-2465
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。