北限のニホンザルが有名なむつ市脇野沢地区の焼干しは、大正時代の頃から定置網で獲れるイワシやアジなどを漁師や家族たちが家に持ち帰って作っていたそうです。
焼干しを作るのは9月から寒くてイワシが陸奥湾に入って来なくなる12月中頃まで続きます。
イワシは陽が昇ったら深みに逃げてしまうので漁は朝が勝負。
漁から戻ってきたら苦みや渋みが出ないように、頭とはらわたを取り除いて水洗いし、2~3時間天日干しをした後、竹串を通して炭火で焼きます。
この焼き具合がまた難しく、焼きが甘ければダシが出にくく、焼き過ぎると見た目が悪くなってしまうので、火加減や焼き時間には細心の注意を払い、余計な脂分を取り除きつつ、旨味が逃げないように一匹一匹見極めながら焼き上げます。
串に刺されたイワシが火力の強い炭火でパチパチと音を立て始めると、香ばしい香りに包まれます。
最後の乾燥を除いたすべての工程が熟練した人達による手作業で、こうした丁寧な仕事が脇野沢の焼干しの上品な旨味に繋がっているんですね。
焼干しは煮干しと比べても魚の旨みが凝縮されていて、約5倍のダシが出ると言われています。
鍋に水を張って焼干しをポキポキと折って入れ、お湯がグラグラとしてくれば、あっという間に芳醇な香りのダシが簡単に出来上がり。
味噌汁でもインスタントラーメンでも格別の味に仕上げることが出来ます。
焼干しは粉末にしても使い勝手が良く、さらに軽く炙ればそのままでも美味しい酒のつまみにもなります。
日に日に寒さが増し温かいお鍋が恋しい季節が到来しました。
ぜひ今年の冬は脇野沢の焼干しでとったダシでお鍋を食べてみませんか?
<問い合わせ先>
脇野沢村漁業協同組合
住所:むつ市脇野沢本村無番地
TEL:0175-44-2211
FAX:0175-44-2210
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