極寒、大雪。
津軽の冬と言われれば、こんな言葉が連想されるのではないでしょうか。
しかし、一見厄介者のように見える津軽の冬、この厳しい環境こそが育てる美味しい食材があります。
~一町田のせり~

弘前市一町田は、藩政時代からせりを栽培し続けている地区です。
この地区には、年中水温がほとんど変化しない「しずっこ」と呼ばれる湧水があり、
田んぼの水が真冬でも凍らないため、昔から盛んにせりが栽培されてきました。
5月の中旬、田植えの合間を縫って苗ぜりを田んぼに植え付けし、
8月頃「しずっこ」をかけ流して株を増やします。
9月に一端刈り込んで、新しい芽が育つのを待ち、12~2月に収穫・・・ほとんど1年作業ですね。
12月は露地栽培が基本で、こんな感じで収穫します。

水に浸かって、ジャブジャブ。
見ているだけで、鳥肌が・・・
しかし苦労した分、他のものとは別格です!
せりの香りが高く、雪の白に映える緑の色が鮮やか。
熱を通してもシャキシャキ感が残り、鍋はもちろん、生食・炒め物でも美味しく食べられます。
~冬陽春菊~

津軽平野のど真ん中、12~2月に旬を迎える春菊です。
冬の津軽は晴れることが少ないですが、その柔らかな日差しが春菊にとって絶好の条件となります。

ハウスの中は、温泉熱で暖かくしています。
何とこの温泉、初代園主が自分の庭で自ら掘り当てたのだとか。
そして、このお湯を農園まで運ぶためのパイプとハウスに巡らせたパイプの長さを合わせると、
120キロ!
山手線にして約3.5周分の距離です。すごい、すごすぎる・・・
現在の園主、小堀博文さんもその栽培方法を受け継いでいます。

出荷するときは、女性のスタッフが一つ一つ手詰めしています。
ほとんど一掴みで分量が分かるテクニックは、熟練の証です。
木箱に座りながら、というのもまた乙ですね。

鍋はもちろん、サラダでも食べられるくらいアクが少なく、まろやかな味わいです。
津軽の冬に感謝!
文句を言わず、雪かき頑張ります。
by くわ