弘前大学の近くの道をたまたま車で通りがかった時、「あれっ!?」と思う佇まいの食堂が目に飛び込んできました。そのまま通り過ぎたものの、やっぱり気になり、再び引き返して食堂へ。
外観を見て、「やっぱり気になる。昭和の時代からこの空間だけ取り残されている感じ。ここにはきっと何かある」と思い、ちょうど昼時だったので、昼食をとるために店内へ。
中に入ると、昭和の時代から全てが何も変わっていない、タイムスリップした空気感。とてもワクワク。
食堂は、ご夫婦が営んでいて、とても親切で温かい感じの印象でした。早速、野菜ラーメンを注文。
そしてお店に入った瞬間から気になっていたのが、壁に貼っているキノコの絵。
お店の奥さんに、「これは誰が書いているんですか?」と聞いたところ、奥さまが趣味で描いているとの返答。
「何でキノコの絵を貼っているんですか?」と聞いたところ、
「毎年、天然キノコがとれる季節になると、きのこラーメンを提供している」とのことでした。
「きのこラーメン?」。きのこラーメンは、9月から10月にかけて、店主が山で採ってきた天然きのこを使った特製ラーメン。ピーク時には、10種類ものきのこが入っているとか。かなり高価でレアなものが入ることもあるとか。何とも贅沢!
さらに驚いたのは、それが600円で食べることができるということ。安すぎる!
天然きのこなので、日によっては量の多少があったり、天候によっては、採れる種類も違ってくるので、その時のお楽しみということになります。
さらに、マツタケがとれる時期には、プラス300円でマツタケもトッピングできるとか。
きのこラーメンの写真がないのが残念です。。。
今まで、経験したことのない「きのこラーメン」。未知のラーメンにワクワクしているうちに、野菜がたっぷり入ったラーメンが出来上がり、早速いただきました。素朴で懐かしくて、飽きのこない感じの味わいでした。
もう一つ、この店で気になったのが、相撲の番付表。
番付表のことも店主に聞いたところ、食堂は店主のお母さんが50年程前に始め、元々は関取だったお兄さんが引退後に継いだということでした。お兄さんが39歳の若さで亡くなり、弟の現店主が引き継きました。お兄さんの関取時代の四股名が「一乃矢」。お店の名前でもあります。
後でネットを見て分かったのですが、店主の曽祖父に当たる人も、明治から昭和にかけて、各界で大活躍した「一ノ矢」という関取だったようです。当時の格付けは、大関が最高位。「一ノ矢」は、大関の経験者(今でいう横綱経験者)。「青森相撲王国中興の祖」と呼ばれていたようです。
何気に外観の佇まいが素敵だと思って入った食堂でしたが、お店にまつわるモノ(お店の雰囲気の全てが素敵)・コト(きのこラーメンが素敵)・ヒト(店主も含めて一族が素敵)とも、パワーに満ち溢れていました。
きのこラーメンの季節が待ち遠しいです!
byさっちゃん
一乃矢食堂
弘前市城南2-2-2
0172-34-0644
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