13日から始まった大阪・春場所、歴代幕内力士数ナンバー1を誇る青森県勢力士の活躍が期待されますが、力士を指導する現役の親方(年寄)も、青森県出身者が9名と最多なのはご存知でしたか。
親方は、現役時代に一定の成績を収めるなどの条件を満たした力士のみが襲名を許され、現在、43の相撲部屋に97名が在籍しています。
親方といえば、朝稽古で力士を指導しているイメージが強いですが、その他にも部屋住込み力士の生活指導や、後援会の運営、新弟子スカウト活動など、力士の育成の場である相撲部屋に関わるすべてのことを取り仕切っています。
また、全親方は日本相撲協会の構成員になっていて、協会内の各部署(指導普及部、審判部、広報部など)の担当業務や、本場所・地方巡業の運営も行っています。
まさに、力士の育成から大相撲の運営まで、あらゆる面から国技「相撲」を支えているのが親方であります。
一月場所の両国・国技館
今回は、青森県弘前市出身で、昨年9月に現役力士を引退して親方となった西岩親方(元関脇・若の里)にお会いするため田子ノ浦部屋を訪ねてきました。
西岩親方が所属する田子ノ浦部屋(江戸川区東小岩)
西岩親方(元関脇・若の里関)は、15歳で当時の鳴門部屋に入門、デビュー後2場所目となる平成4年夏場所で序の口優勝を飾り、その後23年余りの現役生活で、通算勝利歴代7位(青森県出身力士では1位)の914勝、史上最長19場所連続(平成14年初場所~平成17年初場所)三役在位など輝かしい記録を残しています。
一方で、度重なる怪我に苦しみ計9回の手術を経験するなど、現役時代は、まさに怪我との戦いでもあり、悔しい思いもたくさんしてきたことと思います。
また、昨年7月の名古屋場所で引退を決意したものの、地元青森へ恩返ししたいとの思いから引退表明を先延ばしして、翌8月の青森夏巡業へ参加するなど郷土愛の強い力士手でもあります。
現役時代の若の里関
引退後は、現役時代の師匠である田子ノ浦親方とともに、大関・稀勢の里関ら幕内力士2名を含む7名の力士の指導にあたっているほか、日本相撲協会の普及指導部に所属し、現在開催中の春場所では会場の警備を担当しているとのことです。
大関・稀勢の里関の稽古風景(手前が西岩親方)
また、プライベートでは、青森県出身で同世代の関ノ戸親方、振分親方、清見潟親方、後輩の君ヶ濱親方などと「青森県人会」と称して酒席を共にし地元話に花を咲かせることもあるそうです。
そんな西岩親方の日常は、インスタグラムで発信していますので、是非、ご覧いただきたいと思います。
ちなみに、私のお気に入りは、何でもミニチュアに見せてしまう手シリーズと趣味の油絵ですね。
2月下旬に青森へ里帰りした西岩親方
さて、現役を引退して間もない西岩親方は、力士のシンボルである髷を結っていますが、5月28日(土)の「若の里引退・西岩親方襲名大相撲」で執り行われる断髪式において、23年余りの相撲人生を共に歩んできた髷とお別れすることとなります。
この日は、西岩親方の門出を祝い若の里関最後の取組として振分親方との同郷対決が予定されているほか、幕内・十両全力士が出場する取組、相撲甚句、初切、髪結い、横綱綱締め実演など盛りだくさんの内容になっておりますので、是非、皆様も会場へ足を運んでご声援を送っていただければと思います。(申込方法・問合せ先はこちらをご覧ください。)
最後になりますが、西岩親方からのメッセージをいただきましたのでご紹介します。
現役時代はたくさんの方々に支えられて土俵に上がっていましたが、一番に支えてくれたのが故郷青森県の相撲ファンの皆様の応援です。
今まで本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
「若の里」として最後の日になる5月28日の断髪式が一日一日と近づいてきました。
私にとって大きな節目の日ですので一人でも多くの方々にご来場していただき若の里最後の取組、そして最後の大銀杏姿を見ていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
これからは日本相撲協会のために親方として頑張っていきますので、今後とも応援よろしくお願いします。
■若の里引退西岩親方襲名披露大相撲
平成28年5月28日(土)
開場 11時00分
開始 11時30分 打ち出し(終了)16時00分(予定)
於 両国 国技館(東京都墨田区横綱1丁目3番28号)
若の里引退相撲公式サイトhttp://wakanosato.com/
■田子ノ浦部屋では稽古見学が可能です。
詳しくは、田子ノ浦部屋ホームページをご覧ください
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。