玉味噌って知ってますか?
ネットで調べると、「木の芽味噌や酢味噌などの調理味噌のベースになる味噌のことで、味噌に、酒、みりん、などを加えて火にかけて、練りあげて作る」とあります。しかし、青森でいう玉味噌はこれではありません。
八戸市南郷にある「山の楽校」。廃校となった小中学校を利用した体験交流施設では、この地域の伝統的な味噌造りである「玉味噌」の復活に取り組みました。 豆味噌
普通の味噌は米や麦など穀物の麹を混ぜて醗酵させますが、こういった麹を造る技術の知られていなかった時代には、味噌は空中に漂う麹菌を付け、その力だけで醗酵させて造っていました。大豆だけで造るので「豆味噌」とも、玉にして吊るすところから「玉味噌」とも呼ばれています。
このような味噌の製法が、青森県の三戸地方や下北地方では親しまれてきましたが、萱葺きの家がめっきり少なくなったことなどもあって、玉味噌づくりは珍しいものになりました。
山の楽校では以前から、この地域の伝統的な農法である「焼畑」を復活させ、焼畑による無農薬大豆の栽培を実験的に行っていました。そして、その大豆を使って、これまたこの地方の伝統的な調味料「すまし」を復活させ、この地域の特産品である「そば」に使っていました。すべてのエッジを削ぎ落とした豊かで深い味わいの「すまし」は山の楽校の名物となりました。
○山の楽校の焼畑(数年のサイクルで最終的には森に戻す究極の自然農法です。)
○山の楽校のすましそば山の楽校が、ここまでこだわってきた「すまし」の「そば」を究極的に進化(退化?)させ、最高の一品に磨き上げるため取り組んだのが玉味噌づくりです。すなわち、昔ながらの焼き畑農法によって作られた大豆で、昔ながらの玉味噌造りを行い、昔ながらの調味料すましでそばを食べる。考えただけでもワクワクします。
玉味噌は、穀物を加えないので色は黒っぽく、麹カビの力だけで醗酵するため特有の匂いもありますが、その風味は格別で他の味噌では代用できないものといわれています。山の楽校の玉味噌は、あと数年程度の熟成期間が必要なようですが、味はしっかりとしています。
先日、青森の郷土料理を現代風にアレンジすることで定評のある、東京西新橋のボワヴェール・川口シェフが、テレビ朝日「食彩の王国」の取材の中で、八戸産のサケに玉味噌を使った料理を紹介したようです。
番組は、11月25日(土)朝9時30分から放送予定です(残念ながら、青森県内の放送日は未定だそうです)。詳しくは、こちらをご確認ください。
復活をとげた南部の伝統調味料「玉味噌」と「すまし」を是非味わいに来てみませんか。
by yoshihito
・関連リンク
八戸市南郷、山の楽校の「すまし」のそば
「すまし」でいただく焼き畑農法のお蕎麦 ~八戸市南郷区 山 の楽校~
八戸市南郷で息づく、縄文時代から続く焼畑農法
山の楽校 | |
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場所 | 八戸市南郷大字島守字北ノ畑6-2 |
TEL | 0178-82-2222 |
Webサイト | 山の楽校 |
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