あおもりの冬ならではの楽しみ方、今回御紹介するのは、「ずぐり回し」です。
「ずぐり」とは、津軽地方に伝わる木製の独楽(こま)で、雪の上で回します。上部に軸が無く、内側はすり鉢状で、底部に丸く太い軸がついているのが特徴です。
向かって左は「さらずぐり」。お皿に似た平たい形です。右は「かぶずぐり」。蕪のように、胴体部分がふくらんでいます。他にも二重・三重ずぐりや、子持ちずぐりなどがあるそうですが、主にずぐり回しで使うのは、さら・かぶの2種類です。
回し方はこんな感じ。縄を巻きつけ、雪の上に水平に投げ入れると同時に縄を手前に引き回転させます。雪上で回っている時間の長さを競うのが、「ずぐり回し」です。
黒石市では、毎年2月、「全日本ずぐり回し選手権大会」が開催されています。今年で30回目となる節目の大会に、お邪魔しました。競技部門は、小学生、中学・高校生、一般、ペア、各部門優勝者で競うグランドチャンピオンの部など細かく分かれています。
こちらは、認定こども園・幼稚園・保育園児の部。「ずぐり回し~競争~♪イチ、ニ、サン!」の掛け声で一斉に回します。皆、回し方が様になっている!
こちらは一般の部。ずぐり歴何十年のベテラン達が、無駄のない動きで、狙った箇所に投げ入れています。グランドチャンピオンの部の優勝記録は4分47秒でした。
選手の方に長く回すコツをお聞きしました。
その1:盤コづくり
盤コ(ばんこ)は、自分のずぐりを回す小さなフィールドのことです。摩擦を少なくするため、回す前に、こまの側面で圧雪します。右側がしっかり固めた盤コ。テカテカと光っています。その2:縄づくり
巻きつける縄は、回転させてもヨレない左巻きが基本だそうです。縄のみでも市販されていますが、よりコントロールしやすくするためには、やはり手作りがいいのだそうです。
そうして、独楽に高度に回転がかかり、静止したように見える状態を津軽弁で「寝る」と言います。こちらが寢っているずぐり。チャンピオン級の方から、珍しいずぐりも見せていただきました。木目を活かした無彩色のものです。向かって左は、二重ずぐりです。
大会のこだわりはトロフィーにも。各部門チャンピオンには、巨大ずぐりのトロフィーが贈られます。独特の彩色が美しいです。
大会が終わる頃には、私もすっかり、ずぐりが欲しくなりました。現在、ずぐりを作っているのは津軽系こけし工人の方。そこで向かったのが、津軽こけし館です。
うかがった日は、ちょうど、こけし工人の小島利夏さんによる実演が行われていて、ご本人自ら、出来たてのずぐりを手に、作り方や投げ方を教えてくださいました。
こちらが、購入したずぐり。左はアヤメ模様のさらずぐり2.5寸、右がろくろ模様の3寸サイズです。来年はこれで大会に出たい!
遊ぶ側にも作る側にも様々な知恵と技が詰まっている、ずぐり。この冬は、ずぐりで、雪上の熱く静かな戦いに挑んでみませんか?
byチビスケ
【ずぐり取り扱い店】
・津軽こけし館(青森県黒石市大字袋字富山72-1、電話0172-54-8181)
(2.5寸サイズずぐり1,080円~/縄180円(2018年2月14日現在))
・津軽黒石こみせ駅(青森県黒石市中町5、電話0172-59-2080)
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