まるごと青森

日本でオンリーワンの絶景が解禁!尻屋埼灯台に登ってみた

観光スポット | 2018-06-08 11:56

灯台。
海難事故から海人を守る、光の道標。
島国の日本には、3,000を超える灯台があるそうです。

ところで皆さんは、灯台に登ったことはありますか?

2018年6月、青森県下北半島、本州最涯(さいはて)の地、青森県東通村「尻屋」の岬にある「尻屋埼灯台」が、日本の洋式灯台150周年を記念して一般公開されたので登ってきました。

尻屋埼灯台
今年から一般公開された尻屋埼灯台。
書き方は「尻屋埼灯台」で、読み方は「しりやさきとうだい」です。英語表記は「Shiriya-saki Lighthouse」。「尻屋崎灯台(しりやざきとうだい)」は字も読みも不正解なのでご注意を。
受付看板
「のぼれる尻屋埼灯台」と書かれた置き看板。参観時間は9:00~16:00。参観寄付金200円。
受付
有人受付。公益社団法人燈光会さんが運営しています。
記念スタンプ
本州最涯(さいはて)らしく、記念スタンプもあります。

尻屋埼灯台は、青森県天然記念物「寒立馬」の放牧地としても有名な観光スポット・ドライブ定番コースの尻屋埼にあり、春から秋の日中、敷地内に入ることができます。

灯台と寒立馬
青い空と白い灯台、緑の草原にライトブラウンの馬。映えまくりです。
寒立馬
馬に近づいて見ることもできます。後ろに回りこむと蹴られるので気を付けましょう。
眠そうな寒立馬
人馴れした馬たち。こんな近くでカメラを構えても警戒すらしない。そして眠そう。
寝た寒立馬
寝た。

この尻屋埼灯台、色々な「1番」がある灯台です。
今回は、そんな「1番」を紹介しながら、中の様子もレポート。

1番の1「日本で1番高いレンガ造りの灯台

尻屋埼灯台は、1876年(明治9年)10月20日に、高さ30mの日本一高いレンガ造灯台として設置点灯されました。
設計したのは、日本の灯台の父と呼ばれた、イギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントン。
今回の内部公開では、「そのレンガ造り」の構造が見られるよう、壁をくりぬいた所が見学できます。

レンガ造の様子
2重構造になっているとのことで、内側・外側ともにレンガ造であることを見ることができます。

工事期間は3年4カ月を要したそうです。1つ1つ積んでいく作業は考えただけで気が遠くなります。

プレート
入り口にある「明治9年丙子10月20日初照 Illuminated 20th Oct,1876」と書かれたプレート。歴史あり。

入口から入ってすぐの場所で構造を確認して、いざ、階段を上っていきます。

入り口
迷宮の入口のような画にも見えますが、1本路なのでご安心を。
階段と手すり
全128段。手すりが付いていますが、途中に休憩場所は無いので一気に行く覚悟で。
途中の階段には段数が書いています。1/3手前で、早くも太ももに乳酸が溜まってきました。運動不足です。

ひたすら上っていると何かの修行のような気分になるので、2つ目の「1番」を。

1番の2「日本で最初の電化灯台

尻屋埼灯台が設置点灯したのは1876年(明治9年)ですが、それから25年後の1901年(明治34年)、それまで火の光だった灯台から、灯火を電気によって点灯するアーク灯が使用され、日本で最初の電化灯台となった、とのことです。

階段
明かりが!ゴールが近づいてきました。
出口
ついに!ゴーーーーーーーーーーール!!

いよいよ、灯台の上から見る絶景です。

海の風景
うおおお!海広いいいいい!水綺麗いいいい!
海の風景
うおおおお!あんな遠い船も見えるううう!
馬を見下ろす風景
うおおおおおお!高い―!!馬ちっさーーーー!!!

まあ、この風景は確かに絶景ですが、ある意味想像どおり。
ですが、これで終わらないのが尻屋埼灯台。

突然ですが、ここで問題です。
普通、陸から海を見たときに、波はどう動いて見えるでしょう?

答えは「奥から手前に向かって来る」ですよね。

ところがこの尻屋埼では不正解。

正解は「波が左右から来て真ん中でぶつかっている」です。

1番の3「左右から波が来るオンリーワンの絶景が見られる!
(※潮汐、時間帯、風向きなどにより見られない時もあります)

ウソでしょ?と思うじゃん?
というわけで、こちら(動画)をご覧あれ。

少し分かりにくい?では、時間圧縮(タイムラプス)で。

タイトル回収。これは圧巻ですね。
なんでこんなことが起きているのか。
むつ海洋研究所の研究員の方に聞いてみました。

「この尻屋埼、左は北海道と本州に挟まれた津軽海峡、右は太平洋という場所に位置しています。
潮汐などの関係で変動はしますが、津軽海峡には日本海の暖流「対馬海流」が流れ込み、この尻屋の辺りから太平洋に出ていきます。海洋調査などでこの辺りに出ると、風がないのにとても強い波や流れを感じることが多いエリアです。左からの波はそういった流れから出来る「うねり」かもしれません。
一方、右側の太平洋側は、この地域によく吹く東風「ヤマセ」などが影響しているかもしれません。東風は、太平洋の沖から陸へと波を立たせます。それらに加えて、「尻屋海脚」という、岬の沖まで伸びる浅い海底地形などにより、複雑な潮流が生まれている可能性があります。」

波の動きは海流のほかにも潮汐や風、地形など複雑な要素が絡むので、原因は一概には言えず、時間帯によっては全く違う動きにもなるとのこと。

昔はこのあたりで海難事故が多発したため、建てられたのがこの尻屋埼灯台なのですが、こういった複雑な潮流が原因だったのかもしれませんね。

しかし、日本海からの海流と太平洋の波がぶつかる場所、ということは、まるで漫画「ワンピース」でサンジさんが追い求めている「オールブルー」じゃないですか!

どうりで下北半島の魚は多彩で美味しいわけです。

そんな奇跡の地にある尻屋埼灯台、他にもまだまだ「1番」があります。
1番の4「東北最初の洋式灯台」(1876年)
1番の5「日本で初めて霧鐘が設置」(1877年設置→2年後に廃止)
1番の6「日本で初めて霧笛が設置」(1879年12月20日設置。これを記念し、日本では12月20日が「霧笛記念日」となっている)

さらに、
日本の灯台50選(1988年・海上保安庁)
土木学会選奨土木遺産(2006年・公益社団法人土木学会)
近代化産業遺産(2008年度・経済産業省)
登録有形文化財(2017年・文部科学省)
恋する灯台(2017年・日本ロマンチスト協会&日本財団)
など数々の指定を受けていたり、今年2月には、Mr.chirdlen「here comes my love(フジテレビ系 木曜劇場「隣の家族は青く見える」主題歌)」のショートフィルムのロケ地としても公開されたりと、今とてもホットな灯台なのがこの尻屋埼灯台なんですね。

というわけで、今回のレポートは以上です。

完全に忘れてましたが、帰りも128段の階段を下りることになるので、手すりにしっかり捕まって降りましょう。明日の筋肉痛が大確定。

夏休みのドライブに、ぜひ尻屋埼を訪問して、馬に癒されて、左右から波が来る絶景を堪能して下さいね。
下北の美味しくて新鮮な海産物を食べるのも忘れずに!

(byかろ王子)灯台と寒立馬と海と観光客の皆様。

時間期間 4月下旬~11月上旬(2018年は工事のため9月2日まで)
時間 9:00~16:00
料金参観寄付金 大人(中学生以上)200円

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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