突然ですが、みなさんは「焼干灰わかめ」をご存知ですか?
焼干灰わかめとは、生わかめの葉の部分を、燃える藁の火に直接かけ、灰をもみ込んでコーティング、天日干しして乾燥させたものをいいます。

津軽半島の先端、今別町は袰月(ほろづき)地区に昔伝わり、鳴りを潜めていたこの製法が、約60年ぶりに復活を遂げました。今回は、焼干灰わかめ復活の立役者、合同会社 袰月海宝の代表 小倉龍毅さんにお話を伺ってきました。

【あの頃の袰月を取り戻したい】
退職後、故郷でのゆとりある生活を夢見て、65歳で妻と共にUターンした小倉さん。しかし故郷は、県下一の限界集落と化していました。
「閑散とし、聞こえるのはうみねこの鳴き声だけだった。」と小倉さんは寂しそうに振り返ります。
「このままではいけない。雇用を創出し、人が集まり、かつての賑わいを取り戻したい。」小倉氏は一念発起し、平成24年に会社を立ち上げました。鮮魚はほとんど獲れない中、目を付けたのは、原材料ゼロの「海藻」でした。それも引き合いの強い「天然」のものに強いこだわりを持ちました。

【焼干灰わかめの復活へ】
ある日、袰月地区の漁業を危惧した青森地方水産改良普及所との会合が開かれ、「焼干灰わかめを復活させてはどうか」と勧められたそうです。以前から復活を目論んでいた小倉さんは「その一言、普及所の後押しで踏ん切りがついた」といいます。
少ない情報を頼りに試作しますが、失敗の繰り返し。地元の80代のベテランたちの協力を得ながら、2年の歳月をかけ、研究、実験を重ねた末に、ようやく今の製法が完成しました。
「肉厚なわかめの歯ごたえ・香りをそのまま閉じ込めることができた。」と小倉さんは胸を張ります。




灰干わかめは徳島鳴門でも作られていますが、灰をまぶすだけの灰干わかめとは異なり、袰月の焼干灰わかめは直接火にかけるのが特徴で、今でもこの製法を行っているのは、全国で今別の袰月海宝のみだといわれています。
いつまでも、絶えることなく受け継がれていってほしいですね。
【焼干灰わかめの美味しい食べ方】
小倉さんのオススメの食べ方はズバリ「刺身」。プリプリでシャキシャキとした天然生わかめ本来の食感が味わえ、絶品の一言です。

小倉さんは自らの足で、県内外の営業に回り、今年6月に正式に販売が始まりました。
「県内だけの消費にとどまらず、県外・海外にも出せるよう、雇用を確保し生産体制を確立したい」と小倉さんは目標を口にします。
◆焼干灰わかめは以下の各店で購入できます。
○県内
・道の駅いまべつ半島プラザアスクル
東津軽郡今別町大川平字清川87-16
・青函トンネル記念館
東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜99
・ホテル竜飛
東津軽郡外ケ浜町三厩龍浜54-274
・道の駅たいらだて「Oh!だいば」
東津軽郡外ヶ浜町字平舘太郎右ェ門沢1-3
○県外
・あおもり北彩館東京店
東京都千代田区富士見2丁目3-11
○ネット
・G-Callショッピング
https://www.g-call.com/shopping/shun/
今後、取扱い店舗は拡大していく予定です。近くに寄った際は、ぜひとも味わっていただきたい一品です。お土産にもオススメですよ。
by パン万次郎
合同会社 袰月海宝 | |
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場所 | 青森県東津軽郡今別町字袰月31 |
TEL | 0174-36-2011 |
FAX | 0174-31-0006 |
料金 | 20g入り 1,200円 |
Webサイト | 合同会社 袰月海宝 |
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