長い間、愛されてきた名店。後継者がおらず、泣く泣く閉店してしまうことも多々あります。そんな中、有志により復活した店も存在します。それらを、我々は勝手に「復活食堂」と名付け、みなさんに紹介いたします。
【あたたかい場所を求めて】
1963年、県総合運動公園そばで営業を開始した「津軽の味 食堂部」。主に部活で運動公園を訪れる子供たちの拠り所として賑わった店は、2011年6月末、店主が他界し、惜しまれながら閉店してしまいました。
店から程近い場所に住んでいるため、小さい頃からよく通い、店とは長い付き合いをしていた 細川 博史さん は、店が閉まってからというもの、「近所には駄菓子屋も食堂もない、子供たちが安心して行ける場所がない」と感じていました。
子に、孫に「あたたかさ」を伝えていくにはどうすればいいかと考えた細川さんは、「そうだ。店を復活させて、子供たちが安心して集える、世代間で繋がれる場所をつくろう。」と決意しました。
そこから開店まで2年。閉店から実に6年ぶりの復活でした。
【いざ、復活へ】
店の看板や建物、食器などもそのまま利用し、内装も、できるだけ当時の面影を残すようにしました。
【苦労の末に復活!名物メニュー】
・不思議な力に引き寄せられた?「バリバリフランキー」
先代が亡くなる前、細川さんが買い物でスーパーに行った際、たまたま先代とバッタリ。何故だかバリバリフランキーの話題になり、「こうやってつくっているんじゃない?」と細川さんなりに調理方法を予想し、先代にぶつけたところ、正解だったといいます。何気ない会話でしたが、それから間もなくして先代は他界。レシピを知る人は細川さんだけとなってしまいました。まるで、レシピを細川さんに託したような、不思議なお話しです。
・常連の舌を頼りに…「チャーシューおにぎり」
復活にあたり、レシピの手がかりが全くなかった上に、味もほとんど覚えていなかったため、アテもなく近所の精肉店へと足を運び、「おにぎりにチャーシューを乗せたものをつくりたい。」と相談。すると店主が「そういえば、亡くなって何年か経つけど、昔、津軽の味にお肉を売っていたよ。なんか最近、あそこ復活するって聞いたけど…」「…それ、僕です。」それから事情を話し、当時と同じ肉を売ってくれることになったといいます。
素材はわかったけど、味が再現できない…。途方に暮れていたある日、たまたま仲間に店の復活の話しをしたところ、常連であったことが判明。試作品を味見してもらい、お墨付きを得ました。
当時の名物メニュー2つが復活したところで、2017年7月、正式オープンの運びとなりました。
復活の噂を聞きつけ、県外から訪れるお客さんもいるといいます。「来てくれたお客さんが『懐かしい』とか、言ってくれるだけで、やってよかったな、と思います。」細川さんは晴れやかな笑顔でそう語りました。
この記事を読んでくださっている方々の中にも、昔よく通ったという人もいるのではないでしょうか。
もしよかったら、当時の仲間や、お子さん・お孫さんと一緒に店を覗いてみてください。懐かしのメニューを味わいながら、思い出話しに花を咲かせてはいかがでしょうか。
by パン万次郎
津軽の味 食堂部 | |
---|---|
場所 | 青森市浪館近野11-5 |
TEL | 080-8209-6957 |
時間 | 11:00~19:00(日によって変動あり) |
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。