店頭に並ぶ商品の販売促進のため、説明書きやキャッチコピーなどが添えられている、単純かつ効果抜群な広告である「ポップ」。
その「ポップ」を全て手描きし、しかもポップごと本を購入できる店として人気上昇中なのが、八戸市にある「ポップごと買える本屋 木村書店」です。
今回は、木村書店の人気の秘密や楽しみ方をご紹介させていただきます。
【手描きのポップを楽しもう】 木村書店は創業90年以上になる老舗書店で、書籍・文房具・教科書などが並ぶ、見た目はごく普通の本屋です。
しかし、店に入って左手には何やら賑やかなコーナーが。
そこでは、木村書店の「ポップ担当」及川晴香さんがオススメする本の数々が、かわいい手描きのポップと共に陳列されています。
この手描きポップを気に入り、「ポップ買い」(CDなどの「ジャケ買い」みたいな感じ)するお客さんもいるようです。「売れたら再度そのポップを作成し、補充可能。手描きならではの細かい違いも楽しんでほしい」と及川さん。
手描きポップを始める前のある日、年配のご婦人のお客さんから、お孫さんに贈る本の相談をされた及川さん。そこで、出版社が推していたベストセラー本を勧めたところ、「ベストセラーもいいけど、店員さんが読んで、面白かったものを紹介してほしい」と言われ、衝撃を受けたそうです。その出来事がきっかけで、「自分がオススメしたい本を、お客さんが見て楽しいかたちで紹介するにはどうしたらよいか」と考え、たどり着いた先が「手描きのポップ」であったそうです。それからというもの、独学で漫画を勉強、終業後に練習し、現在のような素敵なポップを作り出すまでに上達しました。
【ポップ担当日記を楽しもう】
そしてもう一つ、木村書店の名が広まったきっかけとも言えるのが、及川さんが木村書店のツイッターで更新している「ポップ担当日記」です。これは、本の紹介とは直接関係のない、及川さんの日常での出来事をありのままに漫画にしたもので、ある日、読者の心を鷲掴みにした日記がありました。
企業アカウントにも関わらず自由すぎると話題になったこの日記。及川さんが今まで書いたポップ担当日記の中で、一番印象に残っている日記だといいます。あまりに多くのツイッターの通知をみたとき「スイカ農家から怒られて炎上しているんじゃないか」とドキドキしたそうです。思いのほか、寄せられたコメントは好意的なもので、「ありのまま書いていいんだ、と気が楽になった。」と及川さんは笑います。
もともと、手描きのポップは毎日ツイッターで紹介していましたが、本好きの人からの反応が主だったといいます。「こんなに面白い本があるんだよ」ということを、普段本を読まない人たちにも知ってもらうために、「漫画から興味を持ってもらおう」と考えたことが、ポップ担当日記が始まったきっかけだそうです。もちろん、「自分で描いていて楽しかった」というのも理由のひとつです。
普段ツイッターを見ていない近所の子供たちや、ツイッターを見てお店に足を運んでくれたお客さんのために、欄外にちょっとした落書きをしたり、三コマ漫画のオチを載せるサービスも。「せっかくお店に来て頂いたので、画面外のものも楽しんでもらえたら」と及川さんは言います。
地元の方に、「八戸を盛り上げてくれてありがとう」と声をかけられたり、県外からお店に足を運んでくれるお客さんがいたり、嬉しい出来事が増えてきているようです。
「お客さんが、リアル本屋に行きたくなるような本屋さんになりたい」と及川さんは目標を口にします。
次のお休みの日にでも、リアル本屋に足を運んでみましょう。素敵な出会いがあるかもしれませんよ。
by パン万次郎
木村書店 | |
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場所 | 青森県八戸市小中野8-12-29 |
TEL | 0178-24-3366 |
FAX | 0178-43-2051 |
時間 | 平日・土曜日:9:00~18:00 日曜日・祝日:10:00~18:00 定休日:第2、第4日曜日 |
Webサイト | 木村書店twitter |
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