まるごと青森

下北”電車と路線バス”の旅

グルメ 特産品・お土産 観光スポット 体験 温泉・宿泊 | 2018-11-30 23:00

青森では雪も降り始める晩秋の11月某日。
時刻は午前5時28分。青森駅に来ました。

いつもみる「あおもり」の文字も、この時間は暗くなってました

なぜこんなところにいるかというと、今をさかのぼること2週間前。
友人から、こんなことを言われたのです。

「下北に旅行に行きたいけど、車が無いと無理だからなー」

青森でいう下北とは、青森県下北地域。
日本三大霊場の恐山や、まぐろで有名な大間町のある、本州最北端の半島です。

筆者は、下北に仕事で2年間住んでいたことがありました。

その時に感じたことは、不便どころか、旅をするにはとっても楽しい所!という印象。

その思いを、友人に、そして、みんなに届けたい!

車が無くても、電車とバスだけで満喫できるよ!

1日でお寺巡りして街歩きして温泉入って大間マグロ食べてうにぎり食べてまた温泉くらいはいけるよ!

というわけで、今回は、車を使わずに、下北を旅するレポートです。

青森駅出発は、5:41、始発の「青い森鉄道」。

まだ暗い駅構内に青森の足、青い森鉄道。かわいいキャラクターは「モーリー」くん。

日の出前の辺りは、まだ真っ暗。電車には、通勤客がちらほらと乗車していました。

約40分かけて、青森駅から野辺地駅へ。JR大湊線に乗り換えます。

明るくなってきた!
大湊線の車両は白です

ここから、むつ市内に通学する学生の皆さんがドンドコ乗り込んできます。

そして野辺地を出発して約1時間後。本州最北端の駅、終点の大湊駅に近づいてきました。

正面に見える山は、下北の象徴「釜臥山(かまふせやま)」

7:33、大湊駅に到着です。

大湊駅とうちゃーく!

ヒバの香りで爽やかな大湊駅舎をダッシュで駆け抜けます。

理由は、駅のすぐ目の前。「大湊吉田ベーカリー」さん。

むつ市民のソウルフード「アンバター」のゲットが目的です。

大湊吉田ベーカリー(通称:よしべ)さん。よしべはここの他に、むつ市新町にある「もんぶらん本店」とむつ市大畑店があります。
ダッシュで店内に駆け込むと、お店のオーナーさんが笑顔で迎えてくれました
アンバターゲット!コッペパンではなく、食パンなのがポイント。この食パンも、しっとりもちもちしててうまいです。

アンバターを握りしめて、駅に戻ります。

駅前のバス停からJRバス東北さんの路線バス「田名部行」7:39乗車。(12/1からは7:44発に変更になるそうです)

JRバス東北さんの路線バスは青色。下北のバスは前乗り前降り。乗車時に整理券を取って、降車時に料金を支払うシステム。降車するお客さんを待ってから乗車しましょう。

バスは通勤で混み始めたむつ市内を走り、20分後の8:00、田名部駅前バス停に到着。

かつては鉄道の駅があったのですが、今はバスの「田名部駅」。
隣にはお城風のレトロな構えの交番
鉄道の駅の名残があちこちに

ここから、旧田名部駅の駅前通りを進みます。

駅前通り
やたらと昭和レトロな看板がある謎のお店。早朝で開いてないのが残念
40代以上の青森県民には懐かしい「松木屋」の看板が!建物の中では今もスーパーが営業しています

街並みを眺めながら歩くと、数分で、下北交通さんの「むつバスターミナル」に到着。

むつバスターミナル。いわゆる、バスタむつ
ターミナル内。これまたレトロな雰囲気
時刻表の時間が漢数字!思わずヒトフタサンマルとか読んでしまいそう

ここで「佐井線(下り)」のバスに乗車。

出発時間前の車内。まだ運転手さんもいないのに先に乗れちゃう感じがいい

ほどなく運転手さんが後からバスに乗り込み、ゼロハチニイマル、ターミナル出発。

北に進み、バスは津軽海峡が見えるむつ市大畑へ。アンバターを食べながらゆっくり風景を見られる幸せ。

津軽海峡が見えてきました

乗車から20分後の8:40、ここで本日最初の目的地のある、むつ市大畑の正津川バス停に到着。むつ市に住んでいた時には1度も来たことの無い場所を散策。

バス停すぐ近くにあった碑。昭和18年にこの辺りで遭難した船の慰霊碑だそうです
突如現れた、ワシのオブジェさん。本物かと思って一瞬びっくり
こっちは本物の鳥。すぐ近くに漁港があるので鳥さんも沢山います
正津川の河口。津軽海峡の荒波が川を逆流していく光景に見入ってしまいました

ここ正津川は、下北に4本あった恐山の参道の1つ、北の玄関口で、恐山に縁のある多くの神社・お寺があります。

こちらは建立から335年経過の「光主神社」
すぐ近くのお寺「優婆寺」

そのまま徒歩でバス停のある旧道に並行に走る国道279号バイパスへ。

この辺り、桜並木が約7km続く、来さまい桜ロード。ゴールデンウィークの頃はテンションあがります

遠くに、イカの巨大オブジェが見えてきました。ここが最初の目的地、いさりびハウスさん。

大畑の名産、イカのオブジェ
開店直後の朝9時。隣にはコンビニもあります
店内は冷凍魚介類や乾物、お土産などが沢山
さしみほや、あんこうともあえなど。ツマミ最高
隣には食堂。まだ準備中でした。営業時間は10:30~15:00。新鮮なイカ刺し定食などが食べられます。個人的にはゲソ天そばが好きです。

 

イカの乾物と家用のふのりをゲットして、正津川バス停に徒歩で戻ります。

 

9:48、ここからちょっとだけ逆走。早朝から活動して冷えた体を温めたい!
で、下北交通むつ線(上り)に乗り、「石神温泉」へ。

9:58、石神温泉前に到着。
バス停。の後ろにパンダの顔!目力。
パンダの正体はバス待合所。蝶ネクタイがオシャ。
中に入ると、目の部分が窓に!バスの到着が見られるようになっています。禁煙。

すっかりパンダに心を奪われかけました。本題の温泉へ向かいます。

石神温泉玄関口ホール

この石神温泉は、昭和63年11月から営業しているそうで、宿泊と、食堂もある温泉です。

浴室。泉質は「ナトリウム-塩化物強塩泉」

さっそく入浴。湯船をよく見ると、浴槽が2つに分かれており、赤字で「あつい」と青字で「ぬるい」の文字が。

手前が「あつい」奥が「ぬるい」

知っています。下北の温泉は、本当に「あつい」んです。漁師さんが冷えた体を温めるためだとも。

いくら体が冷えたとはいえ、いきなりプロ仕様の「あつい」湯船に入る勇気はなく、ここは「ぬるい」を選択。

あっつい!!!!!!!!!

いやいやいや、青字でぬるいって書いてるのに熱くて入れませぬよ!一体どうしたらと思っていたら、地元のかたと思われるおじいさんが、浴槽横の水道の蛇口をきゅっとひねって水を出しながら湯船の中へ。

あー、自分でぬるくして入るのね、と納得です。

ちなみにこの温泉には、サウナと露天風呂もあり、露天はちょうどいいぬるさでした。

風情のある露天風呂です

バスの時間も迫ってきたし、体も十分温まったので、温泉を後にします。

よく見たら玄関にもパンダさんのオブジェが。従業員の方になぜパンダ押しなのか訊いたのですが分からず。さよならパンダ。また来るね!

次の目的地は、またも大畑。11:00、かつて下北交通さんが運営していた鉄道「大畑線」の終着駅があった場所。

ここには、2001年まで営業していた当時の駅舎と、使っていた車両(下北交通キハ85系)が走行できる状態を保ったまま保存されています。

当時の駅舎。今は下北交通さんの出張所。
中はバスターミナルになっています
ホームの風景がそのまま残っています
4月から10月にかけては毎月車両の乗車体験ができるそうです。今はオフシーズン

ここで、次のバスまで1時間あるので、大畑の町を散策しつつ、大畑で最も大きいお寺「大安寺」さんへ。

参道の空気感のある道路を歩いていきます
大安寺到着!

敷地の入り口付近で、偶然副住職の長岡さんとお会いしたので、お話しを聞きながら境内を歩きました。

敷地内の石段は、元禄時代のもので、当時の石が今も使われているそうです
昔、足羽山(福井県)で採掘されていた笏谷石(しゃくだにいし)で出来た墓石。青緑色で、雨にぬれると青が強くなるのが特徴。江戸時代に北前船で大畑まで運ばれたものだそうです

と、副住職からいろいろとお話しを聞いているその時でした。

「そういえば言い忘れてましたが、門の上の所にが居るんですよ。」

えっ!?とびっくりして、門の上を見ると、そこには左右に2体の鬼の像が。

お寺の門の上。外側から見てもよく分かりませんが…
門の真下から見上げると、古い鬼が
左右対称に向かい合い上の梁を支えるように立っていました

これは、津軽の神社にいる「鳥居の鬼コ」と似ている!?

鳥居の鬼コとは、津軽では鬼が悪者ではなく、地域の人を助けてくれた存在として、守り神のように祀られているもので、神社の鳥居の梁下段の上に立ち、上段の梁を背中や頭などで支えている像のこと。
弘前には鬼伝説のある「鬼沢」という地名があり、そこでは鬼が祭られている鬼神社などもあります。
多くの人が、由来や、どの神社にどういった鬼コが居るか、などを研究しているものなのですが。

神社ではなく、お寺で、しかも津軽から遠く離れた下北に、鬼コがいるのは、もしかしたら大発見なのではないでしょうか。

しかも、背中ではなく手で梁を支えている、通常1体のところが2体いるなど、津軽とは少し違いもあります。

ちょっとした大発見に興奮していると、バスの時間が迫っていたので、副住職にお礼をして大畑駅へ急いで戻ります。

時間がないけど、道端の猫は写真に撮りました
駅に着くと、出発前のバスがすでに待機していました。ギリギリ乗車

12:10、再び佐井線の上りバスに乗車し、ここから次の目的地までは約50分。お寺からバス停まで走った反動の疲れで、ちょっと居眠りしている間に、いつの間にか次の目的地の大間に着くところでした。

13:01 本州最北端、大間埼到着です。

大間崎!何度も来ていますが、路線バスで来るのは初めてです
マグロと大間の漁師の腕のモニュメント。通常はこの間に人が立って記念撮影ですが、一人旅で写真を撮ってくれる人も居ないのでカモメを間に入れました
本州最北端の碑。バックに見えるのは当然北海道

一人記念撮影もしたので、いよいよ本物の大間マグロ、大間埼にある「魚喰いの大間んぞく」さんへ!

こちらは、築地の初セリで親子2代で最高額をたたき出した「第三十八美吉丸」の竹内さんが営業しているお店。

自ら獲った大間マグロを店頭で捌いて提供しているお店「大間んぞく」さん

食べるのはもちろんマグロ丼!と思ったのですが。

大間ではマグロの他に、ウニ、アワビも獲れるということで、メニューにはウニだのアワビだのが載っています。

このうち、ウニは3月に漁が解禁となるとのことで、今は無かったのですが、アワビは揚がっていると。

じゃ、ここは豪勢に!

まぐろアワビ丼!どーん!

超新鮮な大間マグロと、どかーんと乗ったアワビのコラボ。まさに至福です。

ゆーっくり味わって食べていると、いつ間にかバスの時間に。

お腹も心も満たされて、14:01、終点の佐井へ向かいました。

そして約30分後の14:33、佐井村の「津軽海峡文化館 アルサス」に到着。夏にうにぎりの取材で訪れた場所です。

前の取材先「ちょこっと」へ。カフェ「いおり」マスターが、変わらない笑顔で迎えてくれました
隣の総菜屋さんには「うにぎり」の看板が!但し、今の時期は佐井の岩のりがなく、普通の海苔なので夏より安くなっているとのことでした

コーヒーとおにぎりをいただいてちょっと休憩。戻りのバスまでの時間、佐井村を散策。

日露戦争時に戦場で即席の赤十字の旗を掲げ、敵味方なく傷の治療に当たった世界的に有名な伝説の医師「三上剛太郎」の生家。4月下旬から10月であれば中を見学できるそうです
三上剛太郎にちなみ、村内はいたるところに赤十字が
アルサスの駐車場にも赤十字がたくさん
大佐井川にかかる橋の欄干にあった「北前船」オブジェ。佐井も北前船の寄港地でした

そして15:43、折り返しのバス「佐井線(上り)」に乗車。やはり、来た時と同じ車両です。同じ席に乗り、バスは帰路へ。

と思ったのですが、この路線、最終便があと約1時間半後にあるんですね。

であれば、最後に旅の疲れを癒す温泉に入って帰りたい!

ということで、青森を代表する温泉地「下風呂温泉郷」で下車。

まだ16:47という時間ですが、辺りは既に真っ暗。青森は日の落ちる時間が早いんです

普通ならどう考えてもこのまま下風呂温泉に一泊する雰囲気なのですが、この旅の取材中、上司から「明日〆切の仕事が入ったヨ!帰ってきたらヨロシクネ!」的なメールが。

今回は号泣しながら諦めて、日帰り入浴で我慢することにしました。

下風呂温泉郷には、「大湯」と「新湯」という、泉質の異なる2つの公共温泉施設があります。この日は「新湯」に入浴しました。

高低差のある温泉郷の一番上の方にある「新湯」
一般の入浴料は350円。村民は200円。安いです。
番台の方とお話し。会話が弾みます。
浴室のど真ん中に湯船がドーンと一つ。

新湯の泉質は、「含硫黄-ナトリウム-塩化物泉」。源泉温度はなんと、95℃。

当然、湯船は人間が入っても大丈夫な温度になっていますが、それでも熱いんでしょ?と思い、午前の石神温泉のトラウマを思い出しながら入浴。

やっぱり熱い!!!

・・・でも、明らかに温度は高いのに、不思議と我慢できます。なぜだろう。
40年以上新湯に通っているという地元のおじいちゃんに訊いたところ、柔らかい泉質だから熱くても入りやすいんだ、とのことでした。確かにそんな気がしました。

最後に、帰りの最終バス出発まで少し時間があったので、下風呂バス停向かいの「shimofuroカフェ」で休憩です。

お土産屋さんをリノベしたオシャレな店
当日は定休日だったのですが、たまたま店主さんがいたのでコーヒーを出してもらえました
最終バスでむつ市の下北駅へ。そこから最終電車に乗って青森へ。

以上、とっても長いエントリーになりましたが、下北「電車と路線バス」の旅。日帰り旅です。

車では味わえないディープな下北を全身で体験できて大満足でした。もしかしたら世紀の大発見も。ただ、欲張り過ぎて青森の自宅へ帰宅したのは23時近くでしたが。

仕事さえなければ泊まったのになあ。もう一泊出来たら、もっと多くのバス停で下車して、もっと多くの発見があったんだろうなあ。

というわけで、結論としては、下北、車が無くても十分楽しめますよ~!

(かろ玉子)

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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