突然ですが、皆さん、ご自宅やご実家の畳の縁(へり)の色や柄って覚えていますか?
お恥ずかしながら、私は「緑色だったかな・・・」くらいしか思い出せないほどノーマークでした、今回の取材までは。
オリジナルのご当地柄の畳縁を作ったお店があると知り今回お邪魔したのが、弘前市の「つしま畳店」さんです。
店主の對馬陽輔さんはこの道20年の畳職人。そんな對馬さんが作る、畳の縁を使った小物がこちらです。
こちらは、名刺入れ。一見、畳縁と思えないほどポップな色・柄使いです。
こちらは、ペンケース。
こちらが長財布。
畳職人の對馬さんが、畳縁の小物を作るようになったきっかけは、畳替えの際に出る余り布をどうにかできないかという思いからだったとのこと。
と言うのも、1包が10畳分で納入される畳縁。一般的な家庭の多くが6畳や4畳間。同じ色柄の発注がないと、残りは全て余剰になってしまうそうです。
そんな折、奥様から「小物を作ってみたら?」との提案が。
そこから独学で小物作りを始め、納得の行くものができたのが3年ほど前。県内各地のクラフト市へ出展するようになったのだそう。
やがて、オリジナルの畳縁を作りたいと思うようになり、ある時、津軽塗を見て「これだ!」と閃いたそうです。
第1号、黒い津軽塗柄ができたのは約1年前。そこから赤色の津軽塗、鳩笛、こぎん刺し柄と次々と湧いたアイデアを形にしていったそうです。
柄の開発で苦労したのは、少ない色数でどう表現するかだったと言います。
織り機の構造上、使える糸は4色まで。少ない色で津軽塗りの質感を表現するのが難しかったそうです。
こちらが津軽塗柄のアップです。
もう1点苦労したのは、一寸の幅で何の柄かわかるようにすること。
畳の縁は一寸(約3cm)。その少ない面積で、一目でこれはあの柄だと認識されるようにするため、実物を見ながら、縮尺の変更や線を単純化する作業を重ねていったそうです。
苦労が実り、ついには見本帳が作れるほど、バリエーションが豊富になりました。
「自分の代で始めた畳店だからこそ、新しいことにチャレンジできる」と話す對馬さん。
「畳表も畳縁も、サイズや素材、色柄が豊富になり、組み合わせが飛躍的に広がった。畳縁の小物をきっかけに、畳に興味を持つ人や畳で遊ぶ人が増えてくれたら」と、目を輝かせながらお話されているのが印象的でした。
最近は大間町まで畳を替えに行ったという對馬さん。新たな畳の可能性に注目する方が少しずつ増えてきているのかもしれません。
すっかり魅了されてしまった私。この日、帰宅して真っ先に家の畳の縁を確認したのは言うまでもありません(ちなみに緑色の地に金色の菱柄でした)。
ご当地柄の畳縁から始まる畳の世界、皆さんも覗いてみてはいかがでしょうか?
byチビスケ
つしま畳店 | |
---|---|
場所 | 青森県弘前市桜ヶ丘4-4-3 |
TEL | 0172-88-5893 |
Webサイト | つしま畳店Facebook |
その他 | ご当地柄の畳縁の小物は、「つしま畳店」さんの他、「三ノ月舎」さん(青森市柳川1-2-3 青森駅ビルラビナ2階)でも一部取り扱っています。 |
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。