実は青森県には永い年月を経た巨樹や古木が多くあることはご存知でしょうか。
特に、「イチョウ」は日本全国の中でも最大級のもが多く、青森県は実は巨樹の王国、イチョウの王国と言うことができます。
長い年月を経たイチョウは、紅葉時期の黄色に染まった姿も素敵ですが、青々と茂った姿は一つの木というより森のような印象を受けます。樹齢が数百年を超える巨樹には、それぞれにまつわる物語が口伝で語り継がれ、パワースポットとして、御利益を求めて多くの人が訪れている青森の「イチョウ」の中から3つご紹介します。
北金ヶ沢の大イチョウ【深浦町】
まず最初にご紹介するのは、青森県の西海岸深浦町にある「北金ヶ沢の大イチョウ」。日本最大のイチョウで、ご存知の方も多いかも知れません。国指定の天然記念物に指定されています。
JR東日本の五能線の北金ケ沢駅から徒歩10分の距離にあり、近くに住宅が立ち並ぶ中にあるこのイチョウは、樹齢1000年以上の鎌倉時代からの老木で、高さ31m、幹周22mで日本でもっとも大きいイチョウ。
古くから神木として崇拝信仰されており、人間の乳房又は鍾乳石に似た形をした数多くの気根が垂れ下がっており、気根を触ると母乳の出が良くなると、昭和50年代ごろまでは北海道や秋田県等から願掛けに訪れる方もいたそうです。垂乳根の公孫樹(たらちねのいちょう)ともよばれ、多くの気根が並ぶその姿は鍾乳洞のような印象を受けます。
法量のイチョウ【十和田市】
次にご紹介するのは、十和田市にあるイチョウの巨木である「法量のイチョウ」。こちらも日本最大級のイチョウで、全国で4番目から5番目の大きさと言われています。北金ヶ沢の大イチョウと同じく国指定の天然記念物に指定されており、こちらは推定樹齢1100年の老木、高さ30m幹周14-15mの大きさ。
こちらのイチョウも連なる気根から母乳の出ない母親による信仰があり、「子安めのイチョウ」とも呼ばれていたそうです。どのような経緯でこちらに植えられたか不明で、十和田湖伝説に登場する南祖坊が植えたとも伝わり、この地にあった善正寺の跡地であるとも言われています。
十和田市内から十和田湖へ向かう国道102号沿線にあり、山道を上がっていくと開けた場所に急に森が現れたかのような印象を受けます。
きわめて巨木であることや寒冷地であることなど様々な要因が絡み、樹全体が黄色に染まる前に葉が落葉してしまうことがあり、全体が黄色く染まることが稀といわれています。
現在、平成28年の台風で枝が折れたことから、敷地内に入ることはできませんが、枝が折れても青々しいその姿は、強い生命力を感じます。
大銀南木(子守イチョウ)【七戸町】
最後にご紹介するのイチョウは七戸町にある銀南木農村公園の敷地内にある大銀南木(おおいちょうのき)です。こちらのイチョウは銀杏ではなく銀南と書きます。
樹齢750余年、高さ26m、幹周り12m、こちらは青森県の天然記念物に指定されているこのイチョウ、地元では古くから別名「子守イチョウ」とも呼ばれ、先の2本のイチョウと同様に古くから信仰されてきました。
このイチョウがそびえる五庵川原は臨済宗の僧侶「法身国師」ゆかりの地といわれ、法身国師が手植えされたイチョウと伝えられています。
平成30年に台風により枝が大きく折れたことにより、以前に比べ姿が大きく変化しています。それでも、青々しい葉を着けながら聳え立つ姿は見るものを圧倒します。
県内にはまだまだ多く巨樹や古木が多く存在しております。特にイチョウは全国的にも最大級の樹が多く、実は青森県は巨樹や古木の多い、巨樹の王国なのではと感じます。これから、寒くなるにつれて紅葉シーズンがやってきます。青々としたイチョウも良いですが、落葉によって一面が黄色に染まった姿も幻想的で見る人を圧倒します。
是非、青々としたイチョウと黄色に染まったイチョウを直に見比べてみてはいかがでしょう。
by ひらぱー
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