突然ですが、皆さんは青森県内で開催されている馬の力量を競い合う“馬力大会”なるものをご存知でしょうか?“馬”好きのてんてこ丸は前回ブログで紹介した、馬肉を焼肉で食す五戸町の義経鍋に引き続いて、青森県内の“馬文化の魅力”をもう少しだけ皆さんにお届けしたいと思います!!
今回は特に熱い思いをもった人々が集うとされている中泊町の馬力大会を取材させていただきました。
~そもそも馬力大会ってなに?~
今でこそ重い荷物を運ぶのは、輸送トラックや貨物列車が一般的ですが、車や列車がない時代はお馬さんに荷物を取り付けパカパカと歩いて目的地まで運んでいたそうです。そればかりでなく、農作業するにも畑を耕すにも常に人は馬を必要としていました。まさに「人馬一体」という言葉の通り人々の生活に馬の存在はなくてはならないものでした。そんな中、地域の人々の交流・娯楽として誕生したのが“馬力大会”なのです。
~中泊町馬力大会の基本の“き”~ 中泊町尾別会場編
2019年10月27日(日)に中泊町尾別会場で開催された馬力大会を紹介します。
会場は津軽鉄道の終着駅「津軽中里駅」から車で10分弱行ったところにあり、地元の土木業者である株式会社竹内組の主催で行われました。会社の理念として掲げている「地域に貢献して豊かな未来をきり拓く」のとおり会場準備はもちろん自社経費で馬力大会の番組制作したりなど、地元中泊町の魅力と併せて馬文化を積極的にPRしている会社です。
①コースは全長約160mの直線で、ちょうど中間地点に馬力大会最大の見せ場をつくる障害があります。大会の出走馬は年齢や力量に応じて階級が分けられ、1レース2頭でタイムを競い合います。コースアウトは失格、5分たってもゴールできなかったらタイムオーバーとなります。因みに下の写真の左側に書かれているのは年齢別に階級を表すもので、右の数字は出走馬が身につける重りの重量です。その単位は貫(かん)だそうです。(1貫=3.75キログラム)写真一番下の240貫は900キログラムの重荷をつけて走ることとなります。
②馬力大会への参加者は青森県内からだけではなく県外からも多くいます。そのためレースは8:00時開始ですが、かなり前もって会場入りし、各々好きな朝食をとるのも馬力大会の一つの醍醐味ともいえます。
③360度回転式のスピーカーで参加受付を促し、いざレース開始です。観客も今か今かと心待ちにしています。
スタートの合図とともにいっせいに走り出し、最大の見せ場である障害に差し掛かります。そのまま一気に駆け上がる馬も稀にいますが、そのほとんどは一度で登りきることは出来ません。
障害を登りきれなかった馬に対しては
「バイキ バイキ!!」
と一同は叫びます。
バイキとはバック(後退)のことで、一旦立ち止まった馬が再度障害を越えるとき、勢いがつきやすくするように一度後ろに後退させるそうです。
そして、
「せーーーーーーの!!!」
「そりゃーーーーー!!」
「おらーーーーーー!!」
などの掛け声とともに、少しずつ前に進んで障害を越えていきます。
「せーーーーーーの!!!」
「おりゃーーーーー!!」
「バイキ!!バイキ!!」
「そらーーーーーー!!」
これを繰り返します。
そばで見ていましたが迫力がホント凄まじいです。
障害を越えたら後はゴールに向けて一直線ですが、障害で人も馬もかなりの体力を消耗していますが、最後まで気は抜かれません。必死になってラストスパートをかけます。
ゴールした後、引き手の多くが馬に対して「よくがんばった、たいしたもんだ」と労をねぎらう声を掛ける姿が非常に印象的でした。
文字や写真では伝えきれない迫力・熱量が会場ありますので、是非一度見に行ってみることをおすすめします。
~馬文化・歴史の伝承者2選~ 中泊町編
今回の馬力大会in中泊町にあたり、懇切丁寧に取材協力してくださった地元の馬文化・歴史の伝承者ともいえる2名(※てんてこ丸が勝手に人選)をご紹介いたします。
○株式会社竹内組 相談役 竹内宏人
先に紹介した、今回の馬力大会を主催した株式会社竹内組相談役の竹内宏人さん。長らく中泊町の馬文化の継承と保存を馬力大会を通じて盛り上げてきた第一人者です。「現在でこそ青森県内での開催地は限られていましたが、一昔前までは馬力大会は県内各地のいたるところで開催されていました。自分が生まれ育ったこの町は農耕馬と人が一体となって発展してきました。その歴史の重みを馬力大会を通じてこれからも保存していきたいと思います。」と熱い想いを語ってくださいました。写真の愛馬もカメラ目線バッチリなのが印象的でした。
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<会社案内>
株式会社竹内組
住所:青森県北津軽郡中泊町大字芦野福泊23
電話:0173-57-2705
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○株式会社青海建設 代表取締役 平山弘幸
「昔は馬がいなければ人間の生活は成り立ちませんでした。農作業のみならず何をするにも馬を必要としていました。そのため人々が馬を神様と神格化し、崇めていたのもなんら不思議ではありません。自分の地元、中泊町のこれまでの歴史をたどると馬に対するそういった畏敬の姿勢は私も大切にしています。」と語ってくれたのは株式会社青海建設代表取締役平山弘幸さん。建設業を営む傍ら、馬の飼育、育成にも積極的で自らも馬の品種改良を行い日々試行錯誤しているといいます。
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<会社案内>
株式会社青海建設
住所:青森県北津軽郡中泊町大字今泉字布引101-1
電話:0173-69-3033
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両者ともに馬にたいする愛情はもちろん、地元や人に対する愛情も強く感じられました。
本当にありがとうございました。
それでは締めの一句
うま(馬)いこと 最後に言いたい でも言えない
byてんてこ丸
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。