以前ご紹介した弘前市相馬の沢田ろうそくまつり に参加したので、その様子をご紹介します。
そもそも、沢田ろうそくまつりとは、毎年旧暦の小正月に弘前市相馬の沢田地区で行われる、ろうそくを「岩谷堂」と呼ばれるほこらの岩肌に灯し、翌日のろうのたれ具合で豊凶などを占う、450年以上前から伝わるお祭りです。また、壇ノ浦で滅んだ平家の落ち人の子孫による供養が起源という言い伝えも残ります。
幻想的なろうそくの火の揺らぎとで荘厳な神事から感じる450年の重み
沢田ろうそくまつりは、弘前駅から車で約30分、10戸ほどしかない集落で行われる祭ですが、当日行ってみると会場には車の長蛇の列が並んでいました。
それもそのはず、この祭りには毎年2000人ほど訪れており、集落の関係者が3割ほど、その他は旅行者とのこと。さらに、4年ほど前から中華圏でTV等で紹介されてからは、シンガポールやベトナムなどからの旅行者もおられるそう。
ろうそくを奉納する前に、食い意地のはる私は先に食事をいただきます。
と言うのも、境内では登山囃子の演奏のなか、篝火の周りで地元の特産品販売、体を温める飲み物や軽食などの販売が行われています。
岩木山麓の恵みを感じる山菜などが販売されていますが、幾つかある軽食の中で一番の目当てがこの熊鍋である「マタギ汁」。
この熊鍋、とにかく美味しい!熊肉と言うと歯応えのある食感をイメージしていましたが、こちらはホロホロとした食感で脂もあり、肉も濃厚な味わい。さらに生姜が効いた味噌仕立ての汁が相まって、まろやかな味わいに仕上がっています。
この日の気温はマイナス3度。このマタギ汁のおかげで、体の芯から暖まります。
体が温まった後は、この地域の特産品である「ミニ炭俵」の制作風景を見学。境内にある小倉の館炭俵工房では、地元のおばあちゃん達の熟練の技によって、炭俵が作られています。
こちらの地域、かつては林業が盛んで木炭の生産で生計を立てていました。しかし、時代の変化と共に炭俵を知っている人が少なくなり、地域の伝統であるこの炭俵を残していこうと、約30年ほど前から民芸品として、材料集めから全て手作りで「ミニ炭俵」の制作が始まりました。りんごやナラの木炭を使用しており、インテリア・観賞用のほかに、一般的な炭より脱臭・除湿効果を持つなどの実用的な面などから人気を集め、今ではすぐに売れ切れるそうです。
熟練のおばあちゃん達によって次々と編まれていく様は、何だか温かい気持ちにさせてくれます。
こちらは事前の連絡が必要ですが、炭俵づくり体験が出来るそうです。
願いを込めてろうそくを奉納
さて、境内を見て回った後は、目的の沢田ろうそくまつりの要であるろうそくを奉納します。
登山囃子を聞きながら鳥居を潜り、岩谷堂へ向かいます。
境内ではこの様に、ろうそくの販売もしており、参列者は誰でもろうそくを奉納することができます。
幻想的にろうそくが揺らめく岩肌に、無病息災、家内安全や合格祈願などを祈りながら、ろうそくに火をともします。ちなみに、こちらのろうそくは貰い火厳禁とのこと。岩谷堂にはライターが置いてあるので、そちらを使います。
いわゆるディープな祭りと言われる沢田ろうそくまつり。ろうそくの火が揺らめく景色もさることながら、450年以上に渡って続けられてきたと言う伝統の重みを感じながら参加してみると来年もまた参加しようかなと思える、どこか惹かれるものを感じるお祭りでした。
byひらぱー
場所 | 青森県弘前市大字沢田園村18 |
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TEL | 弘前市相馬総合支所 0172-84-2111、JA相馬村 0172-84-3215、岩木山商工会 0172-82-3325、ロマントピア 0172-84-2288 |
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