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【弘前市・アキモト製麺】昔から親しまれ、地元に馴染んだ味、アキモト製麺の津軽そば

グルメ | 2020-03-09 20:30

近年、柔らかいうどんがブームですが、柔らかい麺というと津軽そばを個人的には思い浮かべます。ということで、うどんと蕎麦の違いはあれど、柔らかい麺ブームを先取りしたともいえる津軽蕎麦を取り上げたいと思います。

一般的に蕎麦は「挽きたて、打ちたて、茹でたて」の「三たて」が美味しく、少しでも時間が経過してしまうと、香り、味も逃げてしまうと言われています。

しかしながら、青森県津軽地域に知れ渡る蕎麦は「三たて」とは真逆の製法で、三回も蕎麦を置いたり、寝かせたりするのが特徴です。

スピードが命とされる蕎麦作りですが、「津軽蕎麦」は製造から食卓に上がるまで、最低でも三日間を要します。

また、香りは一般的な蕎麦と似ていますが、全く違うのは「あえてプチっと切れるようにしている食感」です。口で蕎麦をすすったり、箸で持ち上げようとすると、すぐに蕎麦がホロホロ切れてしまうのが特徴です。初めて食べた人は「蕎麦だけど蕎麦ではない。全く別物の蕎麦」との印象を持つのではないでしょうか。

そんな津軽蕎麦は、津軽地域では年末年始の年越しそばや、八日そば(旧暦の12月8日に蕎麦を食べる習慣)等、年中行事の節目によく食べられたといいます。

〇地元民なら一度は必ず食べたことがある!?アキモト製麺の津軽蕎麦

津軽地域に根付いた津軽蕎麦は、各地域に津軽蕎麦の製麺所があり、昔から親しまれてきました。そんな数ある製麺所の中から今回紹介するのは、弘前市の「アキモト製麺」。

アキモト製麺工場

弘前市に店舗を構える「アキモト製麺」は明治21年創業で130年以上の歴史がある製麺所です。創業当初は、時代劇に出るような担ぎ蕎麦屋から始め、その後蕎麦打ちの方に比重が移り、現在では機械で打つようになりました。日本一の桜祭りで有名な「弘前さくらまつり」では、「津軽そば」を求める客が殺到し、卸売先へは数万食出荷する光景はお馴染みとなっています。また、お盆やお正月にもこの味を求めて、帰省客が殺到して、中にはかなりの量をまとめ買いして帰る人もいると言います。

さらに、昔からお客様の要望に合わせ、飲食店のスープに合わせた麺づくりをしています。

また、地元の学校や病院からの注文があり、給食などで提供されていることから、地元で知らず知らずのうちにアキモト製麺の津軽蕎麦を食べているという方も多いのではないでしょうか。

〇想像以上に大変な「津軽蕎麦」作り方。

津軽蕎麦は寝かせるのが特徴ですが、3日の間に3度寝かせるため、時間を掛けて作られます。寝かすことを繰り返すため、津軽蕎麦は想像以上に手間暇がかけられています。また、津軽蕎麦は何度も寝かすことで蕎麦の風味が損なわれることから、風味付けとして大豆粉が使われたと、アキモト製麺の秋元社長は言います。

そんな手間暇かける津軽蕎麦は次の流れで作られます。

まず一日目。そば粉にぬるま湯を入れ、「そばがき」を作ります。3度に分けてぬるま湯を入れることで固さが均一になります。冷水に浸し、しっかり寝かせます。

二日目。蕎麦は熱に弱いので、細心の注意を図りながら製麺します。機械化される前は体温の低い女性が製麺していたそうです。製麺後は暗所でしっかり寝かせます。

一度寝かせた蕎麦を伸ばすローラー
半世紀以上使われた、年季の入った機械
暗所にて2度目の寝かせ

ここで使われる製麺の機械は、半世紀以上昔のモノもあり、末永く大事に使われてきました。使用している機械はすでに製造が停止しているものがほとんど、そのため自分たちで調整しながら使用しています。

三日目。大きな釜で蕎麦を泳がせながらしっかり茹でます。地元では知らない人がいないほど見慣れたパッケージに封詰され、暗所で寝ながらスーパーへ向かいます。

2度寝かした蕎麦を大釜で茹でる
茹で上がった蕎麦を水で締める
袋に詰めて、再度暗所で寝かした上でスーパーへ
スーパーでよく見るパッケージ

アキモト製麺の津軽蕎麦は、地元のスーパーで販売されています。年末年始や八日蕎麦だけでなく日常的に食べられています。
地域になじみになじんだ蕎麦のためか、県外で蕎麦を食べた際の食感などにビックリしたという方は少なくないと思います。

また、アキモト製麺には直営店があり、そこでも津軽蕎麦を食べることができます。直営店があるのは、弘前駅前にある市場「虹のマート」内。

虹のマート内にあるアキモト製麺の直売所。蕎麦の購入の他、この場で食べることができます。
津軽蕎麦 330円
力を入れるとプツリと切れる

煮干しと昆布が効いたほのかな甘味としょっぱさを感じる、この地域ならではの昔ながらの味が体に染みます。

◯津軽蕎麦が親しまれた理由は?

余談ですが、「ソバの実」の生産量も決して多くない青森県で、津軽地域で「津軽蕎麦」が親しまれた明確な理由はわかっていません。

長年蕎麦の仕事に携わっている人ですらルーツは知らないそうですが、たくさんの仮説が出回っています

①のどごしで無く、出汁と短い蕎麦を口の中で絡め、「良く噛んで」食べるため説

②噛んでも麺が潰れず、「プチッ」と切れる食感を追求したため説

以上2点が有力な仮説とされています。しかしながら、様々な理由が重なり合って出来た「津軽蕎麦」ではないでしょうか?また、製法、保存等の技術が発達した現在においても、変わらず完成まで3日間の時間を要することは、これまでの津軽人の思いが込められた証拠です。そして、明確な発祥ルーツが分からず、不思議な部分を兼ね備えているのが「津軽蕎麦」の魅力の一つではないでしょうか。

byひらぱー

 

アキモト製麺
住所:弘前市馬屋町22−13
電話:0172−35−4741
Web:http://akimotoseimen.com
※アキモト製麺工場にて津軽蕎麦を直接購入することもできます。

アキモト製麺直売所(虹のマート内)
住所:弘前市大字駅前町12−1
電話:0172-32-1025
営業時間:8時〜18時

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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